藻から石油をつくる!?

先日、「藻から石油・・・」というタイトルの講演を聞いてきました。
といっても、できるのは石油そのものではなく、「藻から、バイオ燃料をつくる」ですから、
「石油に代わる燃料をつくる」というべきでしょう。


この講演会は、私の母校(仙台二高)の在京OB有志による勉強会「北杜会」の主催で開かれました。
講師は原芳道氏伊藤忠出身、私の21期上の先輩)で、国・宮城県石巻市の支援を得て(市長は
「藻の専門家」だそうです)近々プラントの建設に入るということなので、極めて“まっとうな話”
です。


ネット等のニュースで「藻から石油」という話は少々聞いてはいましたが、詳細を聴くのは初めてなので、
非常に参考になりました。
私なりに理解したポイントを幾つか挙げてみます。


1.藻からは、どんな“製品”ができるか?


  まず前提として、どんな藻でもよいのではなく、数多ある藻の中で「製品になる特定の藻」でなければ
  だめです。
  上記原氏が取り組んでいるのは、「ナンノクロロプシス」という藻です。
  この藻は油分を豊富に含有しているため、幾つかの製品ができるとのこと。
  現在藻からできる製品は以下になります。
   1)バイオ燃料
   2)EPA(サプリメント、化粧品、医薬品)
   3)水産養殖餌料(稚魚の餌になるワムシの餌など)
   4)家畜飼料


  ただ問題は、コスト面で「商業ベース」になるか否か。
  “期待”の1)は、この点で問題があり、原氏によると「少なくともあと5年は無理」とのこと。
  「素人考え」だと、藻をある程度乾燥させるなどして“絞る”などすればよさそうに思えますが、
  この方法はコスト的にも全く合わないようです。
  水から引き上げたりなどせずに、藻が水中にあるままそこから油を抽出するのが最も合理的方法
  のようで、今開発されつつある技術は、超音波などを使って藻の表面を破壊し、その結果
  「油分を外に出す」方法とのことです。
  

  ということで、2)〜4)が産業化できる製品ですが、手っ取り早く売れる(?)のは、3)
  のよう(私の理解ですが)。
  ただ、「付加価値をつける」という意味では、2)が有望ではないかと考えられます。


2.原料となる藻をいかに効率的に“生産”するか?


  製品化を図る以上、原料となる藻が次から次へと“生産”されなければなりませんが、ここが
  一つの課題のようです。
  池などで見られる藻は自然に成長していますが、「早く」「多くの量を」つくるには、
  特殊な技術が必要とのこと。


  このため、原氏が計画しているプラントでは、有効なノウハウをもつシームビオテック社(イスラエル
  から「効率的な生産ができる技術ライセンス」を得るとの説明があり、同社のプラントの様子を
  動画で見せていただきました。
  動画を見て改めて考えたのですが、やはり藻の“養殖場”というより“プラント”と理解すべきです。


  こう考えると、「全国の耕作放棄地を藻の“生産場”に変えよう!」という一部で言われている話、
  理想的ではありますが、“量産化”するのはかなり難しいのでは?


3.事業化の可能性について


  今回の「ナンノクロロプシス」以外の藻でも、「藻から石油」という話があるようですが、前述した
  通り、この原氏の計画は単なる構想レベルの話ではなく、国・自治体の支援(市の支援で用地も確保済み)
  ・東北大学の協力など、スキームとしてしっかり出来上がっており、プラント建設に入るのも時間の
  問題とのことなので、おそらく最も“実用レベル”にある藻の活用なのだと思います。
  その意味で、事業化・産業化という点でみれば、大きな可能性があると言えます。


  ただ問題は、現時点での一番の問題(?)は「資金集め」のよう。
  何億という資金の大半の目処はたったが、「最後のお金」をどううまく調達するかで、知恵を絞っておられる
  ようでした。


  確かに、これまでにない新しい事業なので、従来の投資家は躊躇するのかもしれませんが、魅力を感じる
  人間もきっと多いのでは?
  そこで、こういうときこそ、最近私も関わっている「クラウドファンディング」を活用してはと考えました。
  この「クラウドファンディング」、「少額のお金を広く集め、大きな夢を、多くの人と共有する」というの
  が基本形です。
  このような将来有望な事業になんとか活用できないものでしょうか?