被災地から“新しい地域の姿”が生れる!

新聞やテレビ等で何度か見かけた、宮城県石巻市雄勝町の漁師の会社「OHガッツ」。
この会社を立ち上げた立花貴氏の話を先日伺いました。


石巻と言えば、昨年の津波の被害を最も大きく受けたところです。
立花氏は、震災後被災地支援でこの町に関わり、漁師さんたちの「グッとくる生き方」に打たれて、
今に至ったとのこと。
立花氏の話で最も私が感銘を受けたのは、震災という大きなマイナスを元に戻すだけでなく、
さらに“前進して”、これまでにない地域の新しい地域の姿を描こうと考えているところです。


まず、漁業のあり方について。


従来は複雑な流通機構に組み込まれ、生産者から消費者への“距離が遠い”分、生産者(=漁師)
の利益が少ない上(中間流通の段階で、関わった多くの人間が自分の“取り分”を得るため)、
消費者の姿・ニーズもつかみにくくなっていた。
この点を“構造改革”しようというのが「OHガッツ」の取組みです。
まず、雄勝の“生産品”に関心をもった全国の消費者に一口1万円で前払い金を出してもらい、
当面の資金とともに売り先を確保。
しかも、最終的に商品を送るだけでなく、「商品化に至る過程」で、最初に“囲い込んだ”消費者に
様々な情報を発信し、様々なイベントの際に現地に来てもらうなど、ファンを一層固定化。


こうして、昨年は2,000人を集め、今年の目標は5万人とのこと。
生産地と消費者の“距離を短縮する”ことで、様々なメリットを生み出そうとしています。


次に、地域のあり方について。


「もともとの問題」として、震災前から過疎化・高齢化といった構造的な問題を抱えており、これを克服する
方策は交流人口の増加にあるとのこと。
そのためには、他にないまちの魅力を如何に出すかが課題で、上記の漁業の他、観光・教育のあり方等、
様々な面で先進的な取組みに挑戦し、雄勝を「注目のまち」「行きたいまち」に“変身”させることを
めざしているようです。


これらについては、先日の日経ビジネスオンライン記事でも書かれています。


間もなくこの辺りのことを書かれた
 「心が喜ぶ働き方を見つけよう」(大和書房)
という本も出されるとのことなので、楽しみにしています。