公民連携の推進・向上を図るには?

昨日東京大学で開催された「PREとPPPを考える連続公開講座」を受講してきました。
所用で第2部までしか聴けませんでしたが、非常に興味深い内容でした。


第一部では、
 「小規模自治体が取り組む公共施設の保守点検業務の一括委託」
とのタイトルで、香川県まんのう町の取組みが紹介され、第二部では、
 「民間事業者の創意工夫を生かすPPPの進め方」
とのタイトルでの講演がありました(大成建設)。


まんのう町の事例は、学校・体育館・図書館を改築するにあたり、まとめて複合施設化するとともに、
それをPFI事業とし、さらに、この新施設に加えて、既存の他の約65の公共施設(役場庁舎、
公民館、保育所など)の維持管理業務をまとめて一括委託するというものです。


従来の“お役所仕事”に見られるような、
 ・施設ごとに分けて考える。
   例えば、同じ内容の維持管理業務であっても、施設が異なれば、別々の業務と考える。
 ・機能ごとに分けて考える。
   例えば、新しい小学校を建てる時、建設・維持管理などをトータルで考えず、それぞれ別個の
   業務と考える。
といった“部分最適”ではなく、できるだけ範囲を拡げた“全体最適”を狙う、非常に意欲的な取組み
と言えるでしょう。
おそらく、ただ単に既存の維持管理業務を「一括丸投げ」したのではなく、既存の業務のあり方・内容
をかなり見直し、標準化できるところは標準化するといった工夫を施した上で包括委託したものと
考えます。


2部の講演では、民間側から見た、「望ましい公民連携を可能にするための、行政側の課題」といった
内容が中心でした(というより、私の中では主要テーマでした)。


民間側にいくら創意工夫があっても、発注者が自治体側である以上、発注の内容が工夫のないものであったり、
提案内容に対する“選球眼”がなければ、「民間の知恵」は生きてきません。
適切な“選球眼”がない場合、入札の結果、「安かろう悪かろう」になってしまう恐れもあります。
この辺、民間側の視点からの「役所の、望ましいあり方」は大変参考になりました。


ところで、2部の講演終了後の質疑応答の際、私から、
 「自治体の中での業務の包括委託(講師は“横串機能”と表現)だけでなく、異なる自治体間で、
  共通する業務を包括化することについて、どう考えるか?」
との質問をさせていただいたところ、アメリカのサンディ・スプリングス市の事例も出されながら、
その可能性について大いに可能性を感じている旨、お話がありました。


東京23区内に住む私としては、狭い範囲で23の自治体が独自の業務遂行をするよりは、
共通できる業務は共通化し、その上で民間に包括委託したした方が、現状よりはるかに合理的
であるとの問題意識を常々もっており、その観点からの質問でした。
日本の民間でも同じ問題意識とマーケットの可能性を感じていることがよくわかったので、
このテーマをどう実現していくか、今後政治課題として取り組む際に、大いに“政民連携”
をやっていきたいと思います。


話は変わりますが、こういった観点から考えた場合、「大阪都構想」の内容は一体どのような
ものになるのか、興味があります。
現状の東京23区は、上記のように、23の自治体が「One東京」で足並みが揃って
いるとは言えない状態にあります。
それどころか、どこかの区のように、「都市間競争」と称して、我々がせっかく納めた税金を
無意味な競争(区と区の間での、集客の奪い合い、など)のために注ぎ込もうとする動きすら
あります。
大阪市がなくなって、幾つかの「独立した区」ができた場合、このような状況が生れないとも
限りません。
橋下市長が言っておられる「One大阪」はこの点をどのように“うまくやる”のでしょう?
注目していきたいと思います。