危機対応に見る「自治体首長のあり方」

昨日、自治体経営に熱心な市町村長の会である「提言・実践首長会」(http://www.leadersnetworks.jp/
に参加してきました。
もとより私は首長ではありませんが、この会の“仲間”になるべく活動をしていたので(今も続けています)、
オブザーバー的に参加させていただいた次第です。


この会では、健康・まちづくり・教育など、多様なテーマが取り上げられますが、今回は時節柄「防災」が
主テーマとまりました。
幾つかの自治体の防災の取組みが首長から報告され、省庁からの報告も交え、様々なやりとりが交わされた
のですが、具体的な対策とともに、「首長のあり方」という観点で非常に印象に残った点があります。


1.経験を教訓にできる構想力が必要!


  今年7月に豪雨に見舞われた見附市三条市の水害対策の報告がありました。
  様々な対策がありましたが、平成16年に新潟県を襲った豪雨の経験が見事に活かされた結果、雨量が
  平成16年より多かったにも関わらず、被害は圧倒的に今回の方が少なかったとのこと。  
  特に見附市からは詳しい報告がありましたが、ダムの治水機能の向上・遊水地の整備・田んぼダムなど
  が、「万が一」を考えていた通り、見事に機能したそうです。
  
  
  見附市については、市長から健康・教育・まちの駅など、様々な意欲的な取組みの話をお聞きする機会
  がこれまで何度かありましたが、この防災の話もよくその中で話されていました。
  常に「万一の備え」を念頭に置く姿勢がこのようなところで生きたと言うべきでしょう。


  どこの首長がどうだという訳ではありませんが、問題意識の低い首長が同じ過ちを繰り返すのと比べ、
  「首長の違い」がはっきりわかった気がします。


2.回答のない課題には、しっかりした原則の確立が必要!


  会終了後のアルコールの入った交流会では、福島の伊達市長のお話を個別に伺いました。
  周知のように、伊達市原発事故依頼、放射線対策に追われています。
  考えてみれば当たり前ですが、今回のような事故後の状況は、国・自治体が制度として“想定”した
  範囲を超えています。
  従って、「何を、どこまでやったら、どういう制度的支援が得られるか?」などはわからないまま
  走らざるを得ないと言えます。


  市長によると、住民の不安解消を第一として、このような「回答のない課題」に取り組んできた由。
  伊達市が周辺自治体の対応をリードしている旨の話は他から幾つか聞いていましたが、その
  “秘訣”(?)は、市長のこのような果敢な英断によるものと考えました。
  英断できるためには、その元になる原則の確立が必要なはずです。
  これも、首長の重要な資質の一つなのだと改めて気づかせていただきました。


3.制度・仕組みへの希求が必要!


  報告後の省庁の方を交えた意見交換では、災害対応・復興支援に関する制度のあり方について、かなり
  突っ込んだ話が交わされました。


  実は、以前の中越沖地震後、何人かの新潟県の首長のお話を、違うメンバー・違う場所で聞く機会が
  何度かあり、それ以来感じていたことですが、同じ被災自治体の首長であっても、首長の考え方・
  問題意識の違いにより、「制度をどうする?」という最も大事な課題に全く触れない首長もいらっしゃい
  ました(この会の中には当然そのような首長はいません)。
  そのような首長のお話は得てして、「大変だ大変だ」という混乱で終わったり、「国や県に何とか
  してほしい」で終わってしまう傾向があります。
  これでは、1で書いたような「経験を教訓に活かす」こともできなくなります。
  今回の突っ込んだやりとりを聞いていて、改めてこのようなことを考えました。


以上のこと、我が豊島区にも当然必要になることだと思います。