「自治体の組織のあり方」について

先日、某セミナーで茅ヶ崎市の基本構想についての話を聴く機会がありました。
 *茅ヶ崎市総合計画 基本構想
  http://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/kikaku_sogo_plan/005079.html


いろいろ参考になったのですが、最も注目したのは、
 「政策目標」と「施策目標」に合わせて組織を新たにつくり変えた
点です。


どういうことかというと、基本構想には20の政策目標がありますが、それにあわせてまず「部」を設置。
さらに、20の政策目標の下にある69の施策目標にあわせて69の「課」を設置、といった具合です。


実際にうまく機能しているか否かは別として、同市のこのやり方、「自治体の組織のあり方」という観点から
見ると、革命的な考え方だと思います。
どこの自治体でもそうでしょうが、たとえ首長が変わっても、組織や仕事が大きく変わることはないのが
“普通”でしょう(人事はまた別の問題)。
自治体(行政)が続いてきた(または、「今後も続く」)以上、「これまでやってきた役所の仕事」は、
一種“所与”のものとして、職員にも住民・議員にも「当然続くもの」と受け取られている面があると
思います(⇒だから、組織も大きく変わらない)。
しかし、こんなスタイルで何十年も「役所を継続」していては、「必要性が小さい仕事」がどんどん溜まる
一方では?
こんな弊害を防ぐ意味でも、「(何年かで変わるはずの)首長が掲げる政策」にあわせて組織をつくり変える
必要があるはずです。


でも、もっと重要なことは、
 「組織とは、やらなければならない仕事にあわせて存在するものだ!」
という普遍的な概念を、自治体という一種特異な組織の中でも徹底させていくことにつながる点にあると
思います。


民間企業を比較対象に考えると極めてわかりやすいのですが、企業の存在意義は、従事している事業を発展・継続
させることにあるはず。
そして、そのために必要な仕事があり、その仕事を行うために組織があることになるはずです。
流れとしては、
 事業 → 仕事 → 組織


これを自治体(役所)で考えれば、
  住民のニーズに応じた政策 → 役所の仕事 → 組織
といったところでしょうか?


自治体において、
 ・合理的な組織をつくる。
 ・不要な仕事をあぶりだしてカットする。
という点で、同市の組織のあり方は大いに参考になると考えました。


ただ、危険なのは、そもそも政策・施策のあり方が正しくない自治体・首長の下でこのような組織改変
を行うと、とんでもない結果を招く恐れがあります。
必要な仕事が軽視されたり、意味もない組織だけが肥大化したり、といった弊害が予想されます。
どこかの区の状況を考えると、こんな危険性も十分考えられます。
  「正しい首長」の「正しい政策」の下でやってこそ意味がある試みである
ということも認識する要があります。