藻谷浩介氏の講演より
昨日、東京ウィメンズプラザで開かれた藻谷浩介氏の講演を聴いてきました。
もちろん「デフレの正体」は何回か読んでいますが、講演を聴くのもこれで3回目になります。
でも、そのたびに新鮮な発見があります。
昨日は次のようなことに“気づき”がありました。
1.首都圏の「高齢者増と現役世代減少」の問題
この点は、著書にも書かれていますし、講演でも必ず触れられる点です。
改めて示された数字の“衝撃”は、2005年と2015年の比較で、
・65歳以上は、45%増となる。
・75歳以上は、63%増となる。
一方
・現役世代(15〜64歳)は6%減となる。
つまり、「稼いで税金を納め、その上お金を多く使う層」(=現役世代)がかなり減り、「あまり
消費をしないのに、医療・福祉サービスを多く必要とする層」(=高齢者)がもの凄い勢いで
激増するとのこと。
こんな「深刻な将来」がわかっているのに、どこかの区みたいに「活性化を図って都市間競争に勝つぞ!」
と言っている場合でしょうか?
また、オリンピックをやろうなどという余裕もなくなる気がしますが・・・
少なくとも、オリンピックは、この問題を片付けないうちに手をつけるべきではないと思います。
「東京の将来」に対し、早急に“的確な”手をうつ必要があると、改めて痛感しました。
2.女性の就労を増大させることが、「今の日本のデフレ」を克服する早道だ!
著書にもある通り、今の日本のデフレは「旺盛に消費をする人間が、過去に比べて大幅に減った」こと
にあります。
その克服手段として著書には3点が挙げられていますが、昨日は「女性の就労と経営参加」が主催団体
のテーマの一つでもあったためか、「女性の就労」が強調されていました。
改めて数字を示されると、就労していない女性の数が非常に多いので、この層の就労化を進めれば、
「現役世代の減少」はかなり補えるはず。
しかも、「日本語で、日本の教育を受けている」(当たり前ですが)ので、無理して外国からの
移民を拡大させようとするより、コスト的に安い。
という藻谷氏の話の後、一度専業主婦になりながら、自らの仕事で“輝いている”4人の女性の
紹介がありました。その中の3人の方は東京ではなく地方にお住まいなのですが、その体験談の
中から、地方の子育て環境の充実(多世代同居、保育サービスなど)の様子が実感として伝わって
きました。
女性の就労増には、やはりこのような社会インフラの整備が必要です。
*この点でも、今の東京は、「都市間競争」や「オリンピック」にうつつを抜かしている場合では
ないと言えるのではないでしょうか。
同時に話の中で必要性がよくわかったのは、「家事の分担」の必要性です。
夫の協力や多世代同居がどれほどプラスになるか、これも改めて痛感しました。
男女共同参画がよく語られますが、理念・権利といった面からその必要性を説くだけでなく、
このような経済上の必要性から説いたらどうか、などとも考えました。