「豊島区に相応しい“都市像”」とは?

昨日は「間違ったコンパクトシティの考え方」に基づく「間違った豊島区の都市像」を述べましたが、
それとは違う豊島区の都市のあり方、「豊島区に相応しい“都市像”」について述べます。

 
本来のコンパクトシティの考え方にある通り、住んで便利な都市のポイントは、居住に合わせて業務・
商業・行政などの諸機能がその地域内に確実に備わっていることです。


ここで豊島区を見てみると、全体が人口の多い高密都市となっているのですから、自治体内での人口の
偏在といった問題はないと言え、従って、全国各地のコンパクトシティのように居住の機能を移転させる
必要はありません。
このように居住機能の移転が必要ないということは、都市のあり方としてはむしろ現状の居住状況を固定
した上で都市としての利便性を考えるべき、となるはずです。


そう考えると、豊島区がめざすべきは、池袋という中心部に都市の諸機能を集中させるのではなく、現状
の居住状況に合わせ、むしろ諸機能を各地域に分散させることだと言えるのではないでしょうか。
そうすることで、区内の各地域に都市の諸機能が一定程度備わり、各地域がいわば「ミニ・コンパクトシティ
とでも言うべきものになって、そこに住む人間の居住の利便性が今よりも大幅に向上することになるはずです。


この、区内の各地域が「ミニ・コンパクトシティ」化するという、「豊島区の都市のあり方」における
行政サービス機能の拠点としては、現在機能が曖昧な区民ひろばを考えてもよいでしょうし、商店街の中に
ある空き店舗を考えてもよいでしょう。


行政サービスの拠点が各地域にある点は一種の出張所とも言えますが、以前豊島区にあった出張所とは違う
性質のものにならなければなりません。
以前の出張所はお役所仕事と縦割り行政を温存させたままでの“出店”(でみせ)しかなかったために
地域の拠点にはなりえなかったのですが、私の考える行政サービス拠点は、今の時代の必要性に合った住民
参加の進んだ地域の拠点です。


このように、池袋中心の部分最適ではなく、豊島区全体の全体最適を追求するという考え方に立って
「豊島区に相応しい“都市像”」を考えるべきです。この考え方が現実化すれば、豊島区のどの地域も
「歩いて用が足せる」地域となり、地域を利用する人・歩く人が増え、地域の商店街を利用する地域の
住民も増えることになるでしょう。


そうすることで、豊島区が「日本一便利な都市」になることも夢ではないと考えます。こういった姿こそが、
「これからの時代における無理のない活性化」と言えるのではないでしょうか?


なお、行政サービス機能が分散化することで、中心部に存在する本庁舎の負荷が小さくなり、結果として
本庁舎は小さくて済むことになります。
私の考える「豊島区に相応しい“都市像”」には「コンパクト庁舎」が相応しいと言えます。