豊島区の新庁舎計画-問題点のまとめ(7)

今回は、
 庁舎建設にかかる費用は正しく説明されているか?
という点です。


言い換えると、
 「ちゃんと説明されていないコストがあるのでは?」
ということです。


新庁舎建設費用として区から示されている総額、前にも述べたように、は約180億円です。しかし、よく
考えてみると、これは基本的に、
 「新庁舎を含む建物が建った後にかかる費用」
です。


住宅部分等を含む建物全体が建てられた後、
 ・建物全体の中の区の必要部分を確保するお金
 ・備品等の購入に使うお金
 ・解体費用
 ・公会堂を確保する費用(現庁舎跡地に)
 ・健康センター建設費
の合計が180億円ということです。


今回、区が示した資料によれば、「住宅部分を含む建物全体」を建てる総費用は413億円ほどですが、
ここには税金が使われていないのでしょうか?


実は、この413億円を賄うために、補助金として計111億円ほどが使われる見込みです。
 

国の補助金その他で約70億円、区が出す分として41億円ほどだそうです(区の説明)。
ただ、区によれば、
 「この41億円は財調制度で都から入ってくるお金だから、区の支出としてしなくてよい」
そうです。
つまり、
 「直接の支払は区になるが、出所は東京都の財布だから、区がお金を出したことにはならない」
ということです。


しかし、この考え方、本当に正しいでしょうか?


財調制度について考えてみます。


これは東京23区に特有の制度で、「普通の市町村」なら直接その市町村の収入となる固定資産税・
法人住民税等を一旦東京都が(23区から)吸い上げ、各区の財政状況に応じて配分し直すという
「23区間の財源配分を調整する仕組み」です。
非常に大雑把に言えば、全国の市町村の財政状況に応じて配分の額を考える地方交付税と似たような
面があるとも言えましょうか?


一見、「東京都からもらえるお金」と考えてしまいがちですが、上記のように、財調制度でプールされた
お金は、「普通の市町村」なら「自分で集めて自分で使うお金」に過ぎません。
ですから、他からもらえる“ラッキーなお金”でもなんでもありません。


このように考えれば、区の言う
 「財調制度で東京都からもらえるお金だから、区の支出としてカウントしなくてよい」
との考えは、根本的におかしいと言えます。
補助金の41億円分は、新庁舎の建設コストに追加計上すべきではないでしょうか?


さらに言うなら、
 「国の税金ももともと我々が払ったものだから、その税金が使われること自体が、公の支出とみな
  さなければならない」
とも言えます。
そうなると、
 「補助金総額111億円そのものを建設費として追加計上すべき」
との考えも、決して不適切とは言えないでしょう。


全国各地で「ムダなハコモノ建設」とそれに伴う「税金のムダ遣い」が指摘されていますが、
 「自分が直接出すお金でないから、使っても大丈夫!」
との考えがその基底にあったはずです。
豊島区も、このような「ムダを許容する税金の考え方」を、さっさと捨て去るべきです。