しまだ大井川マラソン

マラソンのスタート地点


10月31日に行われた「第2回 しまだ大井川マラソン」(静岡県島田市、         
http://www.shimada-marathon.jp/index.html)・フルマラソンの部に参加してきました。


まず結果はというと、自己最高の3時間49分07秒(従来は、4時間00分49秒)で、目標の「サブフォー」が
達成できました。


今年の秋のマラソンに臨む方の中には、夏の暑さのために走りこみ不足の不安を抱えている方が多いとか。
私もその中の一人で、結局今大会前の走りこみは、20キロ・5回、30キロ・2回のみでした。
そんな中でも自己記録更新ができたのは、大会直前の調整と大会の運営・雰囲気の良さだったかと思います。


実は、大会の1週間ほど前まで5日間東京を離れたこと、直前は雨が多かったこと(台風で大会そのもの
が中止になる懸念もありました)などで、調整期間の走りこみが不足気味でしたが、前々日にいつものように
マッサージを受け(それだけでなく、マラソンに向けての様々なアドバイスも受けています)、前日には
これまでよりも入念にストレッチを行い、翌日の本番に備えて、開催地・島田市の近くの掛川市に向いました。


掛川で泊まったのはターミナルホテル(http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/17889/17889.html)というところ。
18時頃にチェックインのためにフロントに行くと、美女2人と黒猫1匹が迎えてくれました。
「安い」「大浴場がある」ということで選択したのですが、このホテル、ハードは古いながらも実にきめ細かい
サービスが行き届いており、大会前にすごくリラックスできました。
例えば、
 ・チェックイン時に、「お夜食に!」といって無料で缶コーヒーとドーナツをいただいた(私はチェック
  アウトが早くてもらわなかったのですが、チェックアウト時にもあるよう)。
 ・マッサージチェアが無料(おまけに利用時にお茶のサービスあり。しかも、給茶機でなく、持ってきてくれた!)。
 ・2,000冊のマンガ本が無料で読める(久しぶりに「あしたのジョー」を再読!)。
等々。
別にホテルから頼まれた訳ではありませんが、「記録更新の要因の一つかも」と考え、感謝の気持ちから
書かせてもらいました。
 

大会当日の朝は、予定より早く4時過ぎに起床。
前夜の買物の際、ライトアップされている掛川城を見たので、掛川城まで小雨の中を軽くジョギング。
「闇の中の掛川城」を一人で独占した気分で、悠然と(?)ホテルに戻り、朝食におにぎりとバナナを食べ、
チェックアウト後、東海道線島田駅へ。
駅は参加者でごった返していました(計7,300人ほどが参加とのこと)。


右側の写真はスタート地点の直前風景で、右の建物は島田市役所(もう1枚は、終了後の私の表情です)。
近くの公園でストレッチを行ってから荷物を預けた後、申告タイム別に3区分されたスタートゾーンへと向い、
小雨の中を9時にスタート。
スタート地点が市役所前ということからもわかる通り、この大会のマラソンコース、最初の5キロほどは町の中
を通っていきます。町の中ですから、メイン(と、思われる)商店街の中も通ります。
中には商店から出てきて声援を送ってくれるなど、たくさんの人が沿道に出てきてくれていました。
これまで参加した加古川・つくばではこのようなコースはなく、この大会の大きな特長の一つだと思います。


実はスタート前、お腹の調子が今一つだったので、念のためにポケットティッシュを持ちました。
もちろんコース沿いにトイレはあるのですが、“万が一”に備えてです。
その昔(?)、フランク・ショーターというマラソンランナーがいましたが(ミュンヘン五輪金)、全盛時に
びわこ毎日マラソンで走った際、“大”を催してレースを途中で抜け出し、“復帰”後、猛追して優勝すると
いう事件(?)がありましたが、子どものときにテレビで見たあの“事件”が思い出されたので。
*それにしても、あの当時のショーターには、「圧倒的に強い!」という印象だけが残っています。


さて、レースです。


上記の心配も表面化することなく着々と過ぎ、5キロ地点を通過。
時計を見ると、ほぼ28分です。
このペースでいけば、当初の目標である「4時間切り」は達成できるのですが、自分の感じとしては
「やや早すぎか?」という感じです。
しかし、私の周囲が一団となってこのペースで進むため、「流れに乗って前半で時間を稼ぐか?」と
思い直し、過去2回のようにこの時点で慎重策をとることをやめました。


その代わり(?)、ペースを一定化させるため、「(私が)後に付いて走る」“ターゲット”となる人を
探し始めます。
この“ターゲット探し”、過去2回のレースでもなかなか難しく、いつも悩むところです。
一見適当そうでも、しばらく後に速過ぎたり遅すぎたりがわかったりと、選択に戸惑います。
そうしていると、「適当な候補」が近くに見つかりました。
相手は同じ地域のグループに属するらしい男女の2人組で、男性は私より10歳ほど上で、実力はたぶん私より
30分ほど早いのでは?そして、2人の話からすると、30代(?)の女性はどうやら初マラソンのよう。
この時点での“情報収集”で、
 ・男性は4時間を20〜30分ぐらい切るタイムでいくだろう。
 ・女性をサポートするため、男性はこの一定のペースを維持し、25〜30キロ地点まで行った後に、
  「じゃあがんばってね。お先に!」となるのでは?
と予想し、この2人を当面のターゲットにすることに決めました。
*結果的に言うと、この予想通りでした。25キロ地点でこうなりましたから。


しかし、せっかくターゲットを決めたのですが、給水地点で私が給水した際、人ごみの中に“ロスト”して
しまいました。
という訳で、しばらく“独走”です。


ターゲットは失ったものの、周囲がほぼ一定の同じペースで走っているので、タイムそのものは非常に
順調です。
途中、大井川にかかる、「世界一長い木造歩道橋」としてギネスにも認定されている「蓬莱橋
(http://www.kinomise.com/ki/hourai/hourai.html)の下を通過。
振り返って、「これがあの橋か?」と改めてみる余裕はまだあります。


その後、10キロ地点を55分で通過。
ちょっと快調すぎるので、再度迷いましたが、このペースでいくことにします。


そうこうしているうちに、15キロ手前でさきほどのターゲットが50メートルほど前にいるのを発見。
慎重にペースを維持しながら、やがて“再補足”に成功。
過去2回の大会ではこの辺りから急激にスピードを落とすランナーが出だすのですが、今回はほとんどいません。
「この大会に参加する人は一定以上の実力者ばかりなのかな?」などと原因を考えましたが、なんのことはない、
冒頭でも書いたように、スタート時に「申告タイム別に3区分している」からでしょう。
でも、結局これが私にとって「良好なペース維持」の大きな原因の一つにつながったと思います。


大井川沿いを走るコースを堪能しながら進むと、約20キロの折り返し地点手前で、折り返した先頭集団
とすれ違います。
誰彼となく、「やっぱり速いなあ・・・」との声が漏れます(優勝者は2時間26分代)。
すれ違いが何人か続くうち、セーラームーン風のコスプレ姿の男性の姿が。
普通コスプレなどで走っている人は、「タイムは二の次」みたいな方が多いのですが、私より遙か前方を
行く彼の姿に驚きを感じました(結果的には後で抜きました)。


20キロのタイムを見ると、1時間44分となっており、「4時間切り」どころか、3時間40分ほども狙え
そうなペースです。
この後の状況に一抹の不安を覚えながらも、「行けるところまで行ってみよう!」と不安を払います。


25キロ地点で、さきほど触れたように、ターゲットの1人がもう1人の“切り離し”にかかり、男性の
方についていくことにします。
ただ、男性の方は、“切り離し”を終えた後、若干ペースを上げたので、私との距離が開いていきます。
「これではまずい!」と、差が開かないようどうにかこうにかがんばります。


そうしていると、28キロほどでその男性が立ち止まって屈伸などをはじめました。
ちょっと無理をしていたので、「いい機会だから俺も一息入れるか」という感じで私も止まります。
しかし、走り出して1キロほど行ったところで、男性がまた立ち止まりました。
これを見ていて、「ひょっとしたら本調子ではないのかもしれない」と考え、今度は立ち止まらずに、
自分ペースで走り続けることにしました。


29キロ地点で時計を見ると、ほぼこれまでのペースを維持しています。
ここまでは怖いぐらいに順調だったのですが、ここで今後のことを考え、
 ・30〜35キロは、意識的にスピードを落とす(1キロ6分を想定)。
 ・35キロになった時点で、再度“ギアチェンジ”してペースを上げる。
 ・そうすれば、3時間40分そこそこはいくかも?
との目標と計画を立てました。
従来のレースでは30〜35キロぐらいからペースが落ち始め、最後はよれよれといった感じになって
いたので、ずるずると「よれよれになる」前に、「意識的に調整する」間を置き、やがてくるであろう
ペースダウンを極力防ごうとの作戦です。


30キロから若干ペースを落とし、上体をゆすったり足の運びを変えたりして、走りながらの調整と
します。
1キロごとのタイムを見ると最初が20秒ほど速すぎたので、1キロ・6分となるよう厳しく調整して
いきます。
35キロ地点では、5キロ30分きっちりで余裕もありました。
ここで愛読書の「峠」(司馬遼太郎)の一節が不意に思い出されました。
文庫本・下巻で北越戦争の場面が出てきますが、長岡城を官軍に奪われた河井継之助が奪還を企て、
八町沖という沼地を渡って長岡に攻め入る。
極めて作戦計画通りに長岡軍が官軍を退却させたので、
 「十分。すべて十分」
と心の中でつぶやきます。
思わずこの言葉が頭の中に浮かびます。


35キロで予定通り若干の“ギアチェンジ”を開始。
従来あった終盤の極度な落ち込みもなく、「これならいける!」と自らを叱咤します。
1キロごとにタイムを確認しながら進みますが、37キロを過ぎた辺りで、呼吸は平静ながら、
足が動きづらくなってきました。
なんとか持ちこたえようとするものの、急速にペースダウンして、39キロ地点。
ここでなぜかフォルテシモのメロディーが頭の中に浮かび、必死になりながらも、今週参加する
某町会のバス旅行のことをなぜか考えました。
この旅行、いつもお昼に「飲めや歌えや」の大騒ぎとなります。
いつも私は「for you」などを歌うのですが、「今度はこれにしよう」とふと考えました。


さて、このまま落ち込んでずるずるいくと、4時間切りも難しくなるので、ここで「最後のがんばり」
に出ます。
ちょうど後ろから、本当に“とぼとぼと”いった感じで走ってきた女性がいたので、
「意地でもこの人に付いていこう!」と“心を入れ換え”ます。


40キロで「後2キロ!」、41キロで「後1キロ!」と自らを鞭打ち(?)、ゴールの100メートル
手前で時計を見ると3時間50分を上回りそうだったので、最後のダッシュをかけてゴールしました。


ゴール後、スポーツドリンクのペットボトルが手渡されるのはこれまでの大会と同じですが、記録証を
もらった後、もう一つ、おにぎりが1個ずつ渡されました。
思わず座り込んでおにぎりをほおばったのですが、そのなんと美味しいこと。
どの人も同じように感じている表情をしていました。


その後、着替えを終わり、ゴール地点で出店を見て回ります。
お土産のほか、今話題の「B級グルメ」が数多く出ており、「富士宮ヤキソバ」と「じゃが汁」を満喫
しました。


その後、駅へと歩いて向ったのですが、続々と続く参加者のほとんどが足を引きづっています(当然、私も)。
でもその表情、どの顔も充実感・満足感で溢れているようでした。


もう一つの感想。


自治体の健康施策の面から考えると、こういった取組みは大きな意義があるのではないでしょうか?
「市民の参加者が前年比○○%アップ」などといった実績・目標を追っていけば、確実に健康な人間の
数が増加します。
「かけ声だけの啓発」をやるより、大いに“効き目”があります。


よく、議員の中で、自分が運動等をろくにしないくせに「住民の健康のために、役所はもっと積極的に啓発
に力を入れるべきだ!」などと言うのがいますが、自分がやりもしないで他人のことを言っても信用されない
のでは?
まあ、議員は脇に置いておいても、首長が先頭に立って健康政策を進められるような自治体こそ
「理想の健康自治体」と言えるのではないでしょうか?


帰途の新幹線の中でこんなことを考えました。