「発言しない議員」の“価値”は?

前回に引き続き、私のリポートに対する“反響”について。


リポートの本論とは別ですが、今回は1ページ目の論点の一つに「もう一つの問題 議会の役割は?」
として、豊島区議会の圧倒的多数である“与党議員”の発言の(極端な)少なさを指摘しました。
本来、二元代表制である地方議会には“与党”というものがないはずですが、豊島区の場合は、
「区長の考えに賛成する」として、ご丁寧に「私は“区長”与党である」と自称している議員が
たくさんいます。
具体的に言うと、選挙時の名乗りで、
  自民党
  公明党
  民主党
  社民党
  生活者ネット
の面々です(合計で、36名中27名)。
 *念のために言っておきますが、私は「区長の考えに反対することがよいのだ!」と言っている
  訳ではありません。「与党を名乗る ⇒ (次々と出てくる問題に対し)前もって賛成している」
  という点が、「議員のとるべき態度」として問題だと考えているのです。


私はこれらの議員について、
  実は、豊島区議会では、一部の議員を除き、“活発な”議論はなされていません。
  特に、「区長与党」を自称している議員からは、(「都市再生」に関する)問題を指摘する声は
  ほとんど出されません。
と書きました。
どのぐらい「活発でない」か、いずれ具体的数値を出しますが、“近似値”としては、2007年にまとめた
ものがあります。
    ↓
 http://www.hino-katsuaki.com/report/report2007-4.html
これを見るとわかるように、“与党議員”は発言が非常に少ないです。
今回のリポートで取り上げた「都市再生」に関して言えば、もっと少なくなる(=私などと“差がつく”)
と思います。


さて、“反響”です。


今回は上記の
 「「区長与党」を自称している議員からは、〜ほとんど出されません」
に対し、
 「(同じ与党でも)○○議員は違うはずだ。『いつも議会で問題点を指摘している!』と本人が言っている」
という声が何人かの方からありました。
しかし、上記の通り、「活発に問題点を指摘している与党議員」は一人もいません。


まあ、上記の「○○議員」が思い違いをしているのか、「意図的に事実と違う発言をしている」のかわかり
ませんので、私は、
  私の記憶では、○○議員が「活発に問題を指摘する発言をした」ことはありません。
  今度ご本人にお会いになったら、「発言の内容を勉強させていただきたいので、議事録を見てみたい。
  何月何日のどういう場で発言したか、教えてください」と聞いてみてください。
と、アドバイスさせていただきました。


このやりとりから改めて考えたのは、
  議員にとっての、公の場での、発言の意義
についてです。


私は、
  議員は国・地方に関わらず、公の場で各課題について意見を表明し、異なる意見とは議論を戦わせ、
  それに対する世論・民意の動向を見ながら、最も合理的と考えられる結論を自分なりに考えていく
  べきだ。
  従って、議員にとって「公の場で発言していく」ことは非常に大切なことだ。
と考えますが、いかがでしょうか?


「公の場で発言する」ことなしに「政治的な行動をする」には、「非公式なやりとりをする」しか
ありません。
「非公式なやりとりをする」とは、
  他人が見ていないところで、
  証拠が残らない形をとって、
  お互いに都合のよい結論(めいたもの)を出す
ということになります。
密室政治が批判され、様々な場面で情報公開が叫ばれている今日、こんな“政治スタイル”は当然の
ごとく否定されるべきではないでしょうか。
(もっとも、非公式である以上、上記のような政治スタイルをとったか否かという“証拠”もないので、
 ひょっとしたら「何もしていない」(?)かもしれませんが・・・)


よく「議会改革」という言葉が議員間で取り上げられますが、この辺の“常識”がそもそも異なる
議員と議論していても、根本的に「議論する意味」がないように感じます。


今“トレンド”の一つである「議会基本条例」についても、この辺の常識が異なる議員・議会にとっては、
猫に小判”みたいなものと考えますが、どうでしょうか?