Eボートの魅力!
先日、子どもと一緒に「Eボート」に乗り、都心の川を“往き来”しました。
Eボートとは、10人ほどが乗れる大型のカヌーみたいな手漕ぎの舟です。
“手漕ぎ”のため、川を通行するに当たっては特に許可を取らなくてもよいそうで、そのため、
都心の川だけでなく、全国各地の川などにこのボートを浮かべ、
川を見直す
川でまちとまちをつなぐ
といったユニークな試みが展開されています。
*Eボートの取組みについては、http://www.jrec.or.jp/waterfront/
今回は、月1回ほどの定例クルージングで、中央区新川の亀島川をスタートし、日本橋川を遡って
日本橋三越の先の新常盤橋の手前でUターン、そのまま日本橋川を下って隅田川に出、また亀島川
に帰ってくるというコースでした(約80分、4キロ弱?)。
*写真は、亀島川を遡る際の、ボートから見える風景の一旦です。
我々2人が乗ったボートには、学生風の面々が5名と主催者側の地域交流センターの方が1名同乗。
出発が13時頃で水位が高くなっている最中だったので、川を遡る往きは割と楽な感じ。
まだ疲れてもいないので、川に交差する橋から手を振ってくれる人に返す余裕も十分です。
しかし、“折り返し点”を過ぎると、往きと逆の川の流れの上に、そろそろ“肉体労働”の疲れも
出てきて全員がペースダウン(子どもはこの時点でほとんど“戦力外”状態です)。
隅田川に出たのはいいのですが、川幅が広い上に比較的大きな船の通行があるので、その“余波”
も受けて更に前進が困難となりましたが、何とかもとのゴールまでたどり着きました。
さて、この“旅”を通して感じたことです。
1.「川は道である」との実感があった!
当たり前と言えば当たり前ですが、都心の川を日常の交通に使用する人間はほとんどいないで
しょう(一部の観光などを除き)。
従って、川と言えば、道路を通過する際に、上から見下ろす対象でしかありません(少なくとも
私にとってはそうです)。
時には、道路の接続を妨げる“やっかいもの”とされることもあるかもしれません。
しかし、今回、かつて舟が通った水路である川を実際に自分の“足”(手?)で通ってみて、
車がなかった場合、このルートが合理的な交通ルートであることが何となくですが実感できました。
災害等で今ある道路のルートが遮断された場合だけでなく、スピードにこだわらずに都心を通行
しようとする場合、この川が非常に有益な交通ルートとして認識されてくるのではないでしょうか。
もちろん、陸からの接続性(=どこからでも川に入れるようにする)などの課題はありますが・・・
2.川の状態を知る絶好の機会である!
都心の川が「きれいな川」ではないということは知っていましたが、川の水に接する距離まで
近づき、時にはその水しぶきがかかる状態を90分ほど過ごすと、川の中に浮いているゴミや
水の嫌なにおい等がいかに不快かがよくわかりました。
ちょうど何日か前に、東京周辺で強い雨が降ったこともあり、ネズミの死骸もいくつ見かけました
が、これも川に結びつく都会の水路が汚れていることのあらわれでもあるのでしょうか。
一緒に乗った子どもには、「川にゴミを投げちゃいけない」ということが、道徳的な問題として
だけではなく、実感できたのではないかと思います(期待かもしれませんが)。
3.魅力的な都心の散策ルートとして!
このEボート、自分で多大な(?)労力を使わなければならないのですから、決して通常の観光
ではないと思います。
でも、同乗した主催者の解説を聞き、江戸の頃の水運のことを思いながら川を行くと、東京の姿が
別の角度から見えてきたような気がしました。
もう一つ面白かったのは、「橋の上や道路上から見られている」という感覚です。
まあ、確かに、10人ほどの一団が“何もないはずの”川を、必死で(?)で漕ぎながら進んで
いる姿というのは異様(?)かもしれません。
橋の上や道路上、時には高速を通るバスの中からも、我々に手をふってくれる光景をみると、
ちょっとした優越感みたいなものを感じて、手を振り返しました。
休日の2時間ほどをこんな感覚で過ごすというのは、一風変わった贅沢かもしれません。
4.「チームプレー」を学ぶ機会として!
当たり前ですが、Eボートにはエンジンがない以上、乗った人間ががんばらなければ動きません。
しかも、“途中下車”が不可能です。
たまたま乗り合わせた10人ほどが、それぞれに力を尽くさなければ、“現状打開”が不可能
な状態に置かれています。
私が乗った日は水の動きが緩やかだったからよかったと思いますが、もっと波がある日は、きっと
全員が力を合わせないと、スムーズな行程を経ることはできないでしょう。
だから、全行程の少なくとも何分の一かは、「チームを考えた行動」が自ずから必要になると
思われます。
上記3と合わせて考えると、「異色な東京探訪ルート」と言えるでしょうか。