犬を飼ってみて考えたこと


生れて初めての体験なのですが、今、我が家で犬を飼っています。   


2月に、妻の知り合いより生後3ヶ月弱のトイ・プードル(写真のメス。ただし、写真は現時点)
を譲ってもらい、子どもが「ヒメ」と名付けました。
まあ、子どもの頃から、小鳥や金魚程度なら飼った経験はありますが、「本格的なペット」となる
と初めてです(正確に言うと、小学生の頃、2ヶ月ほどウサギを飼ったことはありますが)。
いろいろと考えさせられることがあります。


1.ペット(「犬は」と言うべきか?)は、人間関係の潤滑油になる?


 短い体験でしかないので、“普遍的な法則”かどうかまではわかりませんが、犬を飼っている
 人間を見ると、何か“仲間意識”みたいなものをお互いに感じるような気がします。


 公園等で、ペットと飼い主同士が集まっているのをよく見かけますが、あのような場だけでなく、
 散歩中の路上で前から来た一組(人間1+犬1)の場合でも、全然知らなくても、まずほとんど
 の場合、挨拶を交わします。
 見知らぬ若い女性からも声を掛けられて、世界が広がった気がします(笑)。


 「動物療法」などとして、ペットの癒し効果を活用する例は聞いていましたが、「ペット→人間」
 だけでなく、「人間→(ペット)←人間」という感じで、人間同士の関係を円滑にする効果も
 あるのではないでしょうか。
 これはちょっとした発見というか、驚きでした。


2.「ペットビジネス」について


 自分が“当事者”になるまでは明確に認識していませんでしたが、この市場、相当なものだという
 ことを実感しています。
 

 これまでも、スーパーなどで「ペット用品コーナー」があるのは知っていましたが、「自分は無関係」
 のため、どれだけの種類・量があるかなど全く関心がありませんでした。
 改めて見てみると、スーパーなどでの扱いは結構大きなものになっています。
 当たり前ですが、扱いの規模が大きいということは、それだけ需要があるということで、裾野の広さ
 が実感できます。


 東洋経済・5/29号でペットビジネスの特集がありました。それによると、日本国内で飼われている
 犬猫の数は合計2,234万頭とのこと(2009年の推計)。
 これだけの規模があれば、確かにいろいろなビジネスが成り立つはずです。


 直接ペットに関わるサービスもそうでしょうが、“拡大的ニーズ”として、「ペットを飼う世帯
 (or個人)」をターゲットにしたビジネスもかなり拡がっている(或いは、その可能性が大きい)
 のではないかと思います。


 先日、幕張メッセでペット関連のイベントがあり、家族で行ってきましたが、その中で、ワインの
 ブースがありました。
 もちろん、「犬にワインを飲ませる」というものではなく、会場に来た人間に市販されていない
 ワインを試飲してもらい、拡販につなげるというものです。
 最初は、「なぜ、犬関係の場所にワイン?」と思いましたが、よく考えると、この“戦法”、
 “的を得ている”と思います。


 非常に大雑把な推測ですが、犬を飼えるということは、
  ・ある一定以上の所得水準・生活水準であろう。
  ・一定以上の心理的な余裕度(?)がある人間の割合が大きいかも・・・
 といった推測ができます。
 そうなると、「この層」を狙った、ペット以外のビジネスも当然成立する(或いは成立の可能性が
 大きくなる)はずで、そこを狙った「ワインセールス」ではないか、などと考えました(実際は、
 全く違うかもしれませんが)。


 という訳で、この「ペットを起点にしたビジネス」というのは、拡がりの可能性があるのではないか
 と思いました。
  *ビジネスだけでなく、政治的な影響力を考える上での“セグメント”としても、考慮する必要が
   あるかもしれません。


3.これからの「ペットの活用法」について


 これは“期待”かもしれませんが、上記1の“拡大版”といったものです。


 健康・介護予防の政策のあり方で最も肝心なのは、様々なプログラムに参加する人数をいかにして
 増やすかということです。
 しかも、現在の参加者が「健康に関心が高い層」が中心になっている以上、「健康に関心が低い層」
 をいかに取り込むか、が最も大きい課題と言えます。
 この「健康に関心が低い層」、現時点では問題がなくとも、潜在的な不健康・要介護層として、健康
 ・福祉政策上、「カギを握っている」と考えてよいでしょう。


 この層に対し、「まじめに健康を考えましょう」と言ってもたぶんあまり効果がないと思われます。
 なんでもよいから、「身体を動かす」(或いは、動かさざるを得ない)仕組みを考える必要がある
 でしょう(これは、私だけでなく、他でもかなり意識されている課題と考えます)。


 その一つとして、ペットが使えないか?
 ペットに関わると、散歩の必要がありますが、散歩はそれなりの「継続的な身体運動」になります。
 健康体操よりは負荷が小さいですが、全くやらないよりははるかによいのではないか?
 そして、ペットには、上記のように「人とのコミュニケーションを円滑にする」という副次効果も
 期待できます。


 こんな感じで、ペットを組み込んだ「まちの健康政策」についても、これから考えていきたいと
 思いました。