H22年豊島区予算について(5)−国民健康保険
続いて、国民健康保険についてです。
豊島区の国民健康保険(以下、「国保」と略)については、「としまの国保」
(http://www.city.toshima.lg.jp/zei/kokuho/4937/index.html)にその内容が記載
されています。
*以下で、記しているページ数は、この「としまの国保」のページ数。
職場の健康保険に加入している人以外のほとんどはこの国保に加入することになっています。
現在豊島区の加入状況は、平成20年度平均で、
人 口:260,344人
加入者: 85,741人
加入率: 32.93%
*世帯の状況
世帯数:142,598
加入数: 60,756
加入率: 42.61%
となっています(P1)。
国保は、加入者が納めた保険料や区・都・国等の負担分を“元手”として、病気やケガなどの
際に、本来払うべき医療費等の一定の割合を負担してくれるものです(負担の内容・割合の
詳細はP8〜12)。
国保の支出の大部分は上記の医療費等への負担に関わるものですが、それ以外の事業も行って
います。
今回は、この一部の「ムダな使い方」についての指摘になります。
1.「『口座振替キャンペーン』として、ただでクオ・カードを配ること」の是非について
納入事務の効率化のため、豊島区は保険料を口座振替で納めてくれるようお願いしています。
これは、加入者側にとっても手間が省けるため、私も加入者の一人としてそうしています。
こういった一環として、PR目的で「口座振替キャンペーン」をやるのは妥当と言えますが、
実際に口座振替手続きをした人の一部に対して、“ご褒美”(?)として、クオ・カードを
配るのは問題ではないでしょうか。
*予算や決算・その他の資料等にもこれについての記載がないため、正直言うと、私もこれまで
知りませんでした(反省!)。知ったきっかけは、昨年11月末、私あてに1,000円のクオ・カード
が実際に送られてきたことによります(上記の該当箇所は、P44)。
国保の予算を使ったこの「クオ・カード配布」事業、次のような内容になっています。
1)配布方法
新規に口座振替にした人や口座振替を継続している人に対して、500円または1,000円の
クオ・カードを送る(抽選による)。
2)配布数
H20年:2,987人
H21年:3,287人
H22年:4,000人(予定)
3)コスト
H20年:2,929,290円
H21年:3,101,175円
H22年:3,400,000円(予定)
*コストには、カード代だけでなく、送料等の事務経費も含む。
「クオ・カードがもらえる」のは、口座振替手続きをした人の一部です。
必ず“当たる”訳ではないので、決して「クオ・カードが欲しくて口座振替にする」のではあり
ません。
また、当たらない人もいる点、不公平とも言えます。
一方、この事業の効果はどうか。
「抽選でクオ・カードがもらえる」が、口座振替を促進させているかと言えば、
【口座振替率の推移】
H19年:41.09%
H21年:33.90%
H22年:32.67%
と、意に反して率は低下しています。
もちろん、この低下には様々な要因が考えられますが、少なくとも、「クオ・カード配布が
功を奏している」とは言えないと思います。
国保の予算規模全体から見れば大きな金額ではありませんが、効果の不明な給付事業に金を使う
なら、加入者の負担を幾分かでも減らすために金を使ってもらいたいというのが加入者の本音
ではないでしょうか。
という訳で、この事業、やめるべきです。
2.一部の人の健康増進・レジャーのためにお金を出すことの是非について
上記以外にも、国保では、「保険事業」として、本来の給付関係以外の事業を行っています
(P38〜43)。
その中で、
1)健康づくり教室
2)健康講座
3)天然温泉施設利用助成
4)国保連合会「温泉センター」
5)保養施設
といったものがあります。
「せっかく保険料を払っているのだから、医療費の給付以外でも使えるようになればよい」という
意味では、「ないよりはあった方がよい」事業とも言えますが、3)を除くと、いずれも参加者・
利用者が2ケタにとどまるものです。
「一部少数の方のための事業」は本来適当とは言えないのではないでしょうか。
また、3)についても、確かに健康増進という面が幾分かあることは否定できませんが、本来の
国保の趣旨(医療の面での安心・安全を確保する)から考えると、「あえて公のお金をかける」
やむを得ない事情があるとは思えません。
という訳で、これらの事業も、実施すべきではないと考えます。
*この2については昨年の決算委員会でも指摘したので、一部廃止・縮小になっているものがあります。