H22年豊島区予算について(3)−介護予防
3回目は介護予防についてです。
介護予防はその名の通り、介護が必要な高齢者の数を少なくするために必要な事業と
されています。
この事業がうまく機能すれば、介護を含めた福祉面での財政負担を抑えるだけでなく、
「元気な高齢者の増加→地域社会の活性化」といった効果も期待できます。
「豊島区は介護予防の熱心に取り組んでいるか?」
これまでもこんな議論を何度もしてきましたが、今回の予算審議にあたり、面白い
比較データを見つけ、数字の面から検証をしました。
結論から言うと、豊島区は介護予防に「あまり熱心ではない」と言えそうです。
比較の対象にしたのは新潟県見附市です。
見附市は、市長の「日本一健康なまちづくりをめざす」の掛け声の下、健康施策・
介護予防施策を積極的に展開しています。
市長は以前から存じ上げていたのですが、今回改めて計画の“数字”を見ました。
介護保険の中での介護予防事業は、「地域支援事業」の中の「一般高齢者施策」
になります(ここでは、特定高齢者向け事業は除きます)。
どの自治体も3年ごとの予算とともに、そのもとになる「事業見込み」(例えば、
「3年後の介護予防プログラム参加者は○○○人」など)を立てます。
この「見込み」は文字通りの見込みであるとともに、その自治体の“目標値”と
も言えます。
介護予防に熱心な自治体は“大きな目標”を立て、熱心でない自治体は“小さな目標”
を立てると言えるので、「この数値の大小で、その自治体の取組み姿勢がわかる」と
いう訳す。
豊島区と見附市を比較は次の通りです(元データは下記より)。
【豊島区】 【見附市】
人口(H20年) 242,557人 43,022人 ⇒豊島区が5.6倍
65歳以上人口 49,125人 10,781人 ⇒豊島区が4.6倍
H23年の介護予防事業の見込み量(=事業に参加する目標人数)
*延べ人数での比較
1)運動分野: 6,200人 77,780人 ⇒見附市が12.5倍
(2種類) (4種類)
2)認知症分野: 1,120人 1,900人 ⇒見附市が1.7倍
(2種類) (1種類)
上の比較で見ると、要するに、人の数は豊島区が多いのに、介護予防の目標値は
圧倒的に少ないということです。
「なぜ、こんなに違うのか?」との私の問いに対する答えは、「地方では
こういった事業に人が集まりやすいから」という内容でした。
「やってみた結果の実績値」では、確かにそういった面があるかもしれません。
しかし、目標値そのものが最初から低いのは問題ではないでしょうか。
豊島区は最初から「どうせこんなものだろう!」ぐらいにしか考えていないから
では、などと考えてしまいます。
以上、介護予防の面での、「豊島区予算の問題点」です。
*比較の元データ
1.豊島区:「高齢者福祉計画・介護保険事業計画」(P87〜88)
↓
http://www.city.toshima.lg.jp/dbps_data/_material_/localhost/070hokenfukushi/050kaigohoken/plan/jigyoukeikaku_200903/jigyoukeikaku.200903.pdf
2.見附市:見附市高齢者福祉計画・第4期介護保険事業計画(P65〜66)
↓
http://www.city.mitsuke.niigata.jp/ctg/00290360/00290360.html