H22年豊島区予算について(1)−都市再生

3月4日からH22年度予算に対する豊島区議会予算委員会が開かれており、私も委員の一人と
して議論に加わっています。
実質的な議論は終わりましたので、委員会の中で私が取り上げた点を中心に、
「豊島区予算の問題点」を何回に分けて触れていきます。


第1回は、現区長の政策の中核である「都市再生」についてです。


このブログでも何度か取り上げましたが、豊島区が掲げる「都市再生」とは、豊島区の中心
である池袋駅周辺に、新たな都市開発事業を幾つか展開させ、都市機能の充実を図り、
町の賑わいを創り出す、いうものです。
具体的な事業としては、
 1)池袋駅を始発とする路面電車LRT)を走らせる。
 2)池袋駅の線路をまたぐ通路(広場?)をつくる(=東西デッキ)。
 3)「路面電車の“沿線”」に新しく庁舎を建設する。
 4)造幣局のある場所(サンシャインの隣接地)に大規模な再開発ビルを建てる(豊島区
   の施設もその中に入る?)。
 5)池袋駅西口(駅前)に、大規模な再開発ビルを建てる。
などで、これらを「豊島区の事業」としてやっていこうというものです。
*区が示している資料は、「豊島区未来戦略推進プラン」(P25・P41〜など)
     ↓
 http://www.city.toshima.lg.jp/kusei/publiccomment/publiccomment_bosyu/017672.html


以下、課題・問題点です。


1.いったいいくらかかるか?豊島区はいくら“払う”か?


 一見してわかる通り、これらはお金のかかる「ハコモノ」事業です。
 1)だけでも最低40億円ぐらい(?)と言われています。
 全部合わせると、どう見ても「○○○億円の単位」になるでしょう。


 「民間の資金を呼び込む」とされていますが、「誰がいくら出すか?」については
 アウトラインさえ出せない状態にあります。


 となると、○○○億円の大部分を豊島区が出す?
 区では、
  ・国の補助金がある。
  ・東京都の補助金がある。
 と言いますが、これも元を正せば税金です。
 右肩上がりの経済情勢が期待できない今、大きなリスクになる恐れがあると言えます。
 *「国・東京都の補助金があるからいいのだ」という考え方については、また改めて
  触れます。


2.政策の優先順位として、正しい選択か?


 上記の事業は、現在の豊島区においては「最重要政策」とされています。
 しかし、
  ・税収増が期待できない。
  ・高齢者が増える。
  ・保育園増設等の子ども施策の重要性が増している。
  ・これまでつくってきた施設・インフラの更新・維持コストがかかる。
 等を考えると、「同じお金の使い道」として、路面電車等の都市再生が“優先施策”と
 されるべきか否かは、考えものと言えるでしょう。
 

 私は“優勢施策”とすべきでないと考えます。


3.どんなメリット・効果があるか?


  「町のにぎわいは、ないよりもあった方がよい」
  「池袋を訪れる人間は、少ないより多い方がよい」
 のは、間違いありません。
 そのため、「町のにぎわい」「活性化」と言われると、上記の都市再生の事業自体
 “無条件によいこと”と思いがちですが、「具体的な効果・メリットが何か?」を
 真剣に考えて判断する必要があります。
 1で触れた通り莫大なお金がかかる上、2で触れた通り「もっと重要なことに使える」
 かもしれないからです。
 この点に関して、豊島区(区長)は、
  ・具体的な数値として出せるものではない。
  ・夢・ロマンである。
 との答えしか返ってきていませんでした。


 常識で考えて、
  「効果の不明な投資」
  「メリットのない買物」
 は正しい選択でしょうか?


 これまで再三にわたってこの点を指摘してきた結果、この点に関し、今回の予算委員会
 において
  「大至急示す」
 との区長直々の答えがありました。
 *これが今回の予算委員会の大きな成果の一つです。やっと「議論を深める」ことが
  できますから。


 今後は、この答えが示され次第、それをもとに議論していきたいと考えています。