「つくばマラソン」にて

hino-katsuaki2009-11-25

11月22日、つくば市で行われた第29回つくばマラソンで、フルマラソンを走って
きました。
*写真は40キロ付近(“7345”が私です)。


昨年の加古川ラソンについで2回目になりますが、今回は「どうにか完走した」
という感じで、タイムは4時間29分23秒。昨年より30分ほど遅く、サブ・フォー
(=4時間を切る)の目標は持ち越しになりました。


今回は、数ヶ月前から右足付け根部分に痛みがあり、一ヶ月半ほど前から強引に
仕上げモード(?)に入りましたが、2週間前の調整時期に入っても痛みが引かず、
前日の21日は軽いジョギングをしようとしたところ、「長い距離は無理」の状態。
その日は土浦市の妻の実家に泊まり、「棄権濃厚」の気分で眠りにつきました。
当日の朝、起きて歩いた後に軽く走ってみると、何とかいけそうなので、「無理
をせずに早めに撤退する」ことを肝に命じて参加を決意。


会場に入ると、すごい人の数です。
フルマラソン・10,169人、10キロ・3,034人とのことで、去年の加古川の倍以上の
参加者です。


スタート地点で待っていると、降り出した雨がだんだん強くなってきたので、
「早めの撤退」が頭の中を大きくよぎります。
しかし、スタートすると、痛みは若干あるものの、何とかいけそうなので、
 「無理をせず、完走を最大の目標にする。10キロごとに体調に気を配り、おかし
  ければその時点で棄権する。ただ、今日の調子からは、1キロ6分のペースで
  とりあえず行ってみる」
との“作戦”をたて、淡々と進みました。
従って、今回は(後半を除きますが)、比較的余裕をもって、いろいろなことを
考えながら走ったという感じです。


8キロほど行くと、右手に「独立行政法人教員研修センター」の表示が見えて
きました。これは、今行われている「行政刷新会議事業仕分け」で見直し対象
に挙げられた施設です。
「おぉ〜 ここか!」と思い、これまでの事業仕分けの内容を思い起こし、来週
から始まる「仕分けの後半戦」のことをあれこれと思いながら、進みます。


このマラソンコースでは、約2.5キロに一箇所の割合で給水・エネルギー補給
のポイントが設けられており、今回も数多くのボランティアの方々がお世話に
あたってくれています。
昨年は自分が走るだけで無我夢中だったのですが、今回は改めてこのありがたみ
に気づき、10キロ過ぎ頃から、水やドリンクなどを受け取る際は、必ず
「ありがとうざいます」と言うことにしました。
そうすると、なぜか身体も心も軽くなった感じがします。


スタート時と異なって雨も止み、風もないため、気温は低いながら比較的よい
コンディションと言えます。
15キロ過ぎ、折り返しコースに当たる反対車線側(25キロ過ぎの地点)で
おしるこの準備がされていることに目にとまり、「うまくたどり着けば、後で
いただこう」などと考えながら走ります。


この辺りで改めて考えたのですが、これだけの大人数が誰に強制された訳でも
ないのに、自ら苦難に向っていくということは、“凄い”ことではないでしょうか。
これを「一つの“事業”」として考えてみると、これだけ多くの人間のエネルギーが
結集された“事業”はそうあるものではありません。
また、「健康増進」という面からみても、これほど効果的な“事業”はないでしょう。
先日の国の事業仕分けの中で「地域健康づくり」が論議され、各地の自治体の
事業仕分けにおいても「健康づくりのための啓発事業」などがテーマになることも
ありましたが、健康づくりの本来の姿は、
 「わざわざ税金を使って、国や自治体にやってもらう」
ものではなく、
 「自分で考えて、自分に合わせて、自分でやる」
ことだと改めて痛感しました。


こんなことを考えながら走っていると、“問題の”右足付け根に若干違和感を覚えて
きましたが、それほど大きくなることもないのでそのまま走ります。
もともとの目標だった「4時間を切る」は早くから念頭に置かなかったものの、
この調子だと、1キロ・6分ペースは悠々行けそうなので、ちょっとほっとました。


と思っていると、30キロ手前辺りから両足ともにスタミナ切れのような状態になり、
30キロを過ぎると、下半身全体の動きが鈍くなってきました。
こうなると、さっき目をつけたおしるこも効きません。


ここら辺りから、目標を、
 ・何とかいけそうなので、完走する。
 ・ただし、後に“後遺症”を残さないことを第一とし、無理をしない。
 ・そのため、給水ポイントごとに一旦立ち止まり、下半身のストレッチ等を行う。
と軌道修正し、変なフォームにならないよう気をつけながら(一応意識だけはしました)、
走り続けます。


昨年の初マラソンにおいては、この辺りの距離を、キロ6分弱で走っているランナー
の中では私が最も元気な中の一人だったはずですが、今回はそれよりも遅いタイム
ながら、何人かに抜かれていきます。


ヘロヘロになりながらも走っていると、40キロ手前で妻と子供からの声援を浴び、
「もうすぐだ!」と思い直して、また走ります。


ここまでくると、一緒に走っているランナーは心身ともにほぼ同様の状態のようで、
皆無言でひたすらゴールをめざしますが、「ベクトルが全く同じ方向を向いている」
ので、不思議な一体感に包まれてきます。


41キロ辺り、前方で一人のランナーが動けなくなって救護の手当を受けていました。
様子からすると、肉離れか何かのようで、とても続行できる雰囲気ではありません。
「黙々と走っている我々」は、瞬間的にそのランナーの気持ちが痛いほどわかる
気がして、思わず、「あと少しだぞ!がんばれ!」という声が何人もの中から出ました。


そして、やっと筑波大のトラックにたどり着き、「何とか、ゴール」です。


足を引きずるようにして歩きながら「完走記録証」をもらい、着替えを終わって一息
ついて会場を後にしようしたのが、午後3時半でした。
ラソンのスタートが午前9時半で、このつくばマラソンは制限時間が6時間ですから、
「正式な記録が残る」のは、3時半で終わりです。
トラックではさかんに、「あと30秒」「あと10秒」などとカウントダウンが始まり
ましたが、見ると、ゴールをめざすランナーが続々とトラックにやってきます。
6時間を超えても、この列は途切れず、黙々と走る姿が続きます。
帰りかけながらこの光景を見ていて、思わず深い感動を覚えました。


ランナー歴が浅い私が言うのは僭越かもしれませんが、走るということの原点は、
順位やタイムではなく、自分で定めた目標に向って一心に進むことなのではないで
しょうか。
この姿を見ていて、感動とともに、こんなことを考えました。


来年は、心身ともにもう少しレベルアップして、またフルマラソンに臨みたいと思います。