「地方自治体の“埋蔵金”」について
“埋蔵金”と言えば、まず「霞が関埋蔵金」です。
これまで語られてきたように、この埋蔵金、特別会計や独立行政法人公益法人等
にある積立金・準備金・基金といった資産が対象になります。
もちろん、これらの全てが埋蔵金と認定されるのではなく、あくまで
「必要以上に積み立てられている分の金額」
が対象です。
必要以上にあるのなら、その分を取り崩して有効活用しようというのが、この
埋蔵金論議の主な目的です。
同じ観点から地方自治体の会計を見ると、「埋蔵金としてチェックすべきもの」
があります。
10月23日で、平成20年度決算審議を含む豊島区議会第三回定例会が終わりましたが、
今回の決算委員会では、今盛んに話題になっている事業仕分け的な観点からの指摘
だけでなく、「埋蔵金論議」を行いました。
1.基金
今どこの自治体でも様々な基金があります。
もちろん、無目的な基金を勝手に設置できる訳ではありませんが、
1)今ある基金の適正な積み立て目標(=残高)はいくらか?
2)各基金の設置目的は正しいか?
については、十分に議論すべきです。
1)の議論から、
↓
必要以上に積み立てる必要はないので、余った分は埋蔵金と“認定”し、
一般会計等に回して本当に必要なところに充当する。
2)の議論から、
↓
目的が妥当でない基金は即廃止して、その分を埋蔵金として、1)と同様
有効に使う。
といった成果が期待できます。
豊島区の場合、大きなものでは、万が一の歳入不足に充てる財政調整基金など
があります。
現在の積立額自体は「異常なほど多額」とは言えませんが、上記の通り「適正な
目標額」を議論することにより、「埋蔵金化」を常に防ぐことができると言えます。
また、2)の議論については、今後の区政の運営方針に一定の制限を加える意味
でも重要だと考えました。
今、豊島区では都市再生と称して、路面電車・池袋駅東西デッキ・その他の再開発
などが計画されています。これらの大型開発事業には、当然何百億円という資金が
必要ですが、1年や2年で捻出できるものではありません。
ではどうするか?
一つの方法として、「○○基金」などとし、「何年かに渡って貯め込んで用意する」
との手法をとることが想定されます。
これを防ぐ意味から、
「まさか、そんな基金はつくらないだろうな?」
といった論議を今から始めておき、事前のチェックを行っておこうというものです。
2.外郭団体の資産
これも国の特別会計等と同様の構造があります。
具体的な例を挙げると、豊島区には、「みらい文化財団」なる外郭団体があります。
今のところ、区の施設の管理やその施設で区の事業を行うのが主要業務と言えます。
この財団の資産を見ると、区からの出資金を含めて、7億円以上の預金・有価証券が
資産としてあります。
年間の事業規模が約10億円ですから、一概にこの7億円が大きいか小さいかを断定
することはできませんが、構造としてみた場合、これほどの額を常時保有しておく
必要があるかどうかについては、疑問の余地があると考えます。
例えば、この財団自体も「財政調整資産」といった「万が一の貯金」をしていますが
(7億円の一部)、どうせ区と一体的に事業を展開している「区の子会社」みたいな
存在なのですから、この「万が一の貯金」は単独でもたず、区の財政調整基金で
一本化したらどうでしょうか(=万が一の場合は、区からその分を出す)。
そうすれば、少なくとも今ある財政調整資産は取り崩せるので、その分を財団の
事業費として使えるはずですし、その結果として、毎年区が財団に出している補助金
の額を減らせるはずです。
国と同様の「埋蔵金の発掘作業」が期待できるのではないでしょうか。
以上の基金や外郭団体のお金のあり方については、きっとこれまでも議論されてきた
自治体があると思いますが、今流行語の一つとなっている「埋蔵金」という言葉を使う
ことにより、一般の住民の方々の関心を高め、より広く深い、かつ活発な議論を展開
する助けになるものと考えます。