「藤沢市の事業仕分け」から

一昨日、藤沢市で行われた事業仕分けを傍聴してきました。


「市長の強い思いで実施された」という割には、「市民と思しき方」の数が
少ないように感じたのは私だけでしょうか。
会場が3つに分かれたので、特にそんな印象が残ったのかもしれませんが・・・


個別の事業の内容は別として、事業仕分けそのものについて、今回も幾つか
“気づき”がありましたので、以下に述べます。


1.「事業説明の仕方」について


  全ての事業について見た訳ではありませんが、今回の事業説明は比較的
  コンパクトにまとまっていたと思います。
  しかし、
   ・事業シートに書かれている内容をただ読んでいるだけの傾向が強い。
   ・必要なデータが示されていない場合が少なからずある。
     *例えば、「非行防止活動推進費」。
      この事業の“効果”として最も期待されるのは、青少年犯罪件数の
      減少・問題行動の減少のはずですが、この最も大切なデータが
      意図的に省かれていたようです。
  などの問題点が挙げられます。
  毎度のことながら、改めてこれらが気になりました。

  
  ではどうすればよいか?
  コーディネーターの負担が少々増しますが、いっそのこと、コーディネーター
  が事業シートの要点を確認しながら、不足分について質問しながら進めて
  いってはどうでしょうか。


  そうすれば、事業説明の内容が極めてまとまる上、説明の段階で大体の質問
  が済んでしまうので、その後に「十分な時間が確保されるため、充実した議論
  が行える」ことになるのではないでしょうか。


  改めて感じた点からの提案です。


2.「仕分け人からの質問」について


  上記1と同様、事業説明後の議論を充実させるため、仕分け人からの質問に
  ついても、効率的に行う方法が工夫できないかと考えました。


  今回の仕分け中、「緑の広場設置事業」というものがありました。
  公園以外の緑地確保の目的などから、「緑の広場」として市が土地を借りる
  などし、市民のレクリエーションや子供の遊び場・家庭菜園などとして
  提供するというものです。
  仕分け人から「それぞれの用途別の土地の、利用状況はどうなのか?」と
  いった趣旨の質問が出されていましたが、明確な回答はありませんでした。
  例えば、こういった質問に対しては、仕分け人が事前の“予習”段階で
  考えていたのでしょうから、事前に質問をまとめて事業説明者に提示しておき、
  期待する回答を本番の仕分けで聞くといった形にしてはどうでしょうか。


  上記1とあわせて考えるなら、コーディネーターが、「仕分け人からこんな
  質問がありましたけど、回答は?」などと、事業説明の段階で処理する
  形になると思います。
   

3.結論の区分の仕方について(「一時事的中断」の必要性?)


  これまでの各地での事業仕分けでもありましたが、
   「事業そのものについて不要とまでは言い難いけれど、現状のやり方を
    全面的に(と言っていいぐらい)見直す必要がある」
  という事業があります。

  
  今回の対象事業で言うと、私の個人的な考えですが、2で例として挙げた
  「緑の広場設置事業」が一つ。
  自然環境保全地の部分を除いては、事業目的も含めて一度全面的な見直しを
  した方がよいのではないでしょうか(そのような指摘も仕分け人から出て
  いました)。
  「生活に密接した必須な事業」でなく、「全面的に見直しが必要と考えられる
  事業」については、「試しに数年ほど止めてみる」という選択肢があっても
  よいのではないでしょうか。


  現在の仕分けの区分では、このような事業については、「不要」か「要改善」
  のどちらかを選ばねばならず、結果として「要改善」となることが多いと
  思います(仕分け人やコーディネーターの考え方によって、この辺の判断
  基準については若干の違いがあるようですが)。


  「不要」「要改善」の間の選択肢として、「一時的に中断すべき」という
  選択肢が必要な理由です。


  このような選択肢を設けるメリットは他にもあります。
  「事業仕分けの“戦果”を大きくできる(或いは、大きく見せる)」という点
  です。


  今回の藤沢市で言えば、要改善とされた事業が多ければ、せっかく市長の思い
  が強くても、仕分けの結果見積もられる金額の効果は小さくなります。
  しかし、「一時的に中断すべき」があれば、少なくとも1〜2年は不要の他に
  この分の事業費も加算することができるので、“戦果”が大きくなります。


  また、この選択肢を巡っての議論は、「2〜3年止めて困る人間がどれだけ
  いるか?」という点に必ず関わってくるので、仕分け人側と説明者側での
  議論が熱を帯びることも予想されます。
  それだけ真剣な議論になる分、有意義になるのではないでしょうか。
  *この議論は、「突っ込むほどに面白くなる」可能性が大いにあります。


  国の事業仕分けの場合、この選択肢があると、さらに一層「仕分け効果」が
  増してくると思います。
  例えば、マニフェストに掲げる新たな事業のための財源探しをしている
  (と、思われる)民主党などについては、「少なくとも当面の間」の
  財源捻出方法として、この手を大いに活用してくると思います。


  「既存事業をやめること」=「ルビコン川を渡ること」だとすれば、川を
  渡りやすくする選択肢を設けることで、既存の事業体系の改革が進みやすく
  なるはずです。


  何度も見てきた事業仕分けについて、こんなことも考えました。