横浜市議会自民党による事業仕分け
一昨日、横浜市議会自民党による事業仕分けを傍聴してきました。
この試み、昨年から何度か行われた「自民党・無駄撲滅プロジェクトチーム
による国の事業仕分け」の地方自治体版との位置づけのようです。
市町村レベルでは、議会主導の事業仕分けは初の試みなので、どんな内容
になるか、期待に胸を膨らませて(?)、臨みました。
以下、感想等のコメントです。
1.事業仕分けを正しく理解することがまず必要!
事業仕分けに多少とも関わったことがある者として、まずこの点を申し上げて
おきたいと思います。
議論の内容は別として、ちょっと「?」と思ったのは、仕分け結果の区分です。
通常の仕分け区分では、
第一段階:その事業が必要か不要か?
↓
第二段階:民間の事業としてやれないか否か?
↓
第三段階:国・県でやる仕事か否か?(=事業主体が市以外の“公共”)
↓
第四段階:市がそのまま実施するとして、改善が必要か否か?
となりますが、今回の仕分けでは、上記の第二段階と第三段階を大枠で一緒に
して、「他者に委ねて継続すべき事業」としていました。
そしてその中で第二・第三段階を分類する形です。
まあ、この点はよいとしも、この「他者に委ねて継続すべき事業」の中に、
「民間に委託するべき事業」として指定管理や業務委託(はっきり書かれて
いないがそうらしい)も含まれていました。
指定管理や業務委託は、仕事に従事する人間は市役所の職員ではないものの、
事業自体はあくまで「市が責任を持って行う市の事業」です。
(市の職員が行う市の事業と同じく、事業主体は市)
どうもこの点を誤解されているのでは?
もし指定管理や業務委託をとりたてて位置づけるなら、
「横浜市が引き続き実施すべき事業だが、改善すべき事業である」
の中に入れ、その中の改善項目の一つとして位置づけるべきです。
次回からはこの点を改めることを“お勧め”します。
2.国会版「無駄撲滅プロジェクト」との比較
「国の事業仕分け」の河野氏や亀井氏と比べるのは酷かもしれませんが、
総じて迫力不足の印象を受けました。
確かに、「国会版」で時々見られる官僚バッシング的な突っ込みは見ていて
あまり気持ちのよいものではありませんが、「無駄撲滅」が目的である以上、
「削るんだ!」という強い意志は必要なはずです。
あくまで個人的な印象ですが、この点の「強い意志」が傍聴者にもっと伝わる
ような話し方・指摘の仕方が必要だと感じました。
*この点は、仕分け人経験者としての“自己反省”の意味もあります。
仕分け人には的確な分析・指摘能力の他に、「何とかして少しでも削ろう」
との意志が必要だということが、上記の比較を通して“自覚”できました。
次に仕分け人になる時には、「心を入れ換えて」臨みたいと思います。
3.自治体議会の議員自身が仕分け人になることについて
今回、「首長に対して与党の関係にある議員」が仕分け人になった形ですが、
ちょっと無理があるように感じられました。
「基本的に首長に反対しない」ことを前提に、予算や議案を審議してきている
以上、その点で“引けめ”(?)があるような印象を受けました。
逆の見方をすると、今回の仕分け人の方々(横浜市議の方々)はそれだけ
正直なのでしょう。
首長与党を表明していながら(当然仕分け対象事業にも賛成)、「こんなの不要だ!」
と強く言い切るには、ある意味、言い訳や開き直りを何とも思わない“強い心”
が必要です。
もし、首長与党議員が仕分けをやるなら、
・通常の仕分けと同様、仕分け自体は外部の仕分け人に任せる。
・その結果を受けて、その場でコメント・意見表明を行う。
といった形の方が、より自然だと思います。
(外部からの指摘で、「新たに気づいた!」と堂々と言えるので)
さて、「首長与党でない議員」の場合はどうか?
この場合は、何の“引けめ”もないので、迫力ある仕分けが期待できるでしょう。
ただ、問題は、行政側の協力がどこまで得られるか、ですが・・・
ところで、仕分けとは別にもう一つ感じたのは、「横浜市は活用可能な資源が豊富そうだ」
という点です。財政の状態は別にして、街なかに広々とした緑豊富な児童遊園や植物園
をもっていたり、市独自の研究機関をもっていたりと、その「資源の豊富さ」には
ちょっと驚きました。
「無駄撲滅プロジェクト」も必要でしょうが、「横浜の諸資源の徹底活用を図る
プロジェクト」を市民と一緒に進めれば、もっと市民の支持を得られるのではない
でしょうか。
余計なお世話かもしれませんが、こんなことも感じました。