民主党による「国の事業仕分け」から
自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム」だけでなく、民主党も事業仕分けに
取り組んでいたようですが、これほどの「大がかりな公開」は初めてです。
「エース級の論客を投入するのでは?」との“前評判”もあり、期待を
もって見に行きました。
以下、個別の議論は別として、全体を通しての感想等です。
1.せっかくの“論客”のキャラクターがあまり活かされなかった?
前評判通り、前原氏・長妻氏・馬淵氏・細野氏などといった論客が仕分け人
に名を連ねていたので、議論の内容だけでなく、運び・与える印象等に大いに
期待したのですが、「もっと鋭い議論ができたのでは?」という不完全燃焼感
が残ったのは、私だけではなかったと思います。
その理由として、次のような点が考えられます。
1)全体の時間があまりに短かった!
今回は、「約2時間で4事業」という、非常にタイトなスケジュール
でした。
通常、事業仕分けは仕分け人・説明者・傍聴者が雰囲気に慣れるまで、
ちょっと時間がかかるような気がします(私の印象)。
だから、せめて自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム」並みに
午前・午後の時間が確保できていれば、「仕分けチームが出だしの
段階を終えて波に乗った」状態を維持しつつ、十分な議論ができた
のではないでしょうか。
何か非常にもったいない印象が残りました。
*当初このスケジュールを知った時、密かにこのような状況を予想
していたのですが、「やはり・・・」と感じた次第です。
2)長々とした答弁を効率的にカットできなかった!
自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム」の仕分けは何度か見ていますが、
役人が長々とした説明をしようとすと、仕分け人自身が“カットの姿勢”
を見せることがよくあります。
この点、今回の民主党の仕分け人は、少々「紳士的過ぎた」感があります
(これもあくまで私の印象です)。
「答弁をカットしながら、自らの論点を強調していく」といった姿勢が
強調できれば、アピール効果はもっとあったと思います。
2.議論の論点を最初に明確に提示するするべきだった!
これは上記1とも関わりますが、個別の議論の中では極めて有効な論点に
ついて指摘していたのですから、例えば、「この事業における論点は○○
と○○だ。これに関する問題が明確になれば、この事業の費用はカットできる。
だからこれらを中心に議論していきたい」などと、チームとしての意思表示を
最初の段階でしておけば、もっと効率的で有効な議論が展開できたのではない
でしょうか(もちろん、一部の事業では、前原氏が試みられておられましたが)。
民主党側としては、おそらく何らかの「議論のシナリオ」をもって臨まれた
のでしょうから、それを活かすプロセスとして、この点が必要だったと思います。
それにしても今回は、民主党の国会議員以外の仕分け人の議論が、なぜか“過激”
に感じられました。
農水省の事業に対して「(地方)分権のカケラもない!」といった熱のこもった
指摘があったり、別の事業において、「財源となる国債の利息が無駄に支払われ
ていいのか?」といった“突っ込み”があったりと、上記1・2の“不完全燃焼感”
を補う効果があったと感じました。
次回があるかどうかはわかりませんが、「民主党による国の事業仕分け」には
次の点を期待します。
・今後もこのような「公開の事業仕分け」をやって、「合理的な改革姿勢」を
積極的にアピールすること。
*余計なお世話かもしれませんが、今回の公開の仕分けのような取組みを頻繁
に行えば、支持基盤の拡大にもつながるのではないでしょうか。
・民主党国会議員以外の外部仕分け人をどんどん活用し、「国民を巻き込んだ
改革姿勢」をアピールすること。
我々国民としては、自民党・民主党(もちろんそれ以外の各政党も)が事業仕分け
を競い合うことによって、より有効な「事業の見直し」がなされることを期待する
のではないでしょうか。
以上、期待を込めたコメントです。