森を活かすには? ペレットの活用
5月11日、3月にも参加した「森の駅推進検討会」に参加してきました。
この検討会、全国で進められている様々な「森に関する取組み」をネットワーク化
し、「森の駅」として連携を図るとともに、森林の再生・地方の活性化を図ろう
というものです。
森の意義・人間にとっての必要性は多くの人間の共通認識となっていると思います
が、最大のネックは「森に関わる取組みでは、どうしても事業化が難しい」こと
です。
今回の検討会のテーマの「ペレット」、どうもこの問題の大きな解決策の一つ
になりそうです。
ペレット(木質ペレット燃料)は、木材を原料にした新しい燃料エネルギーで、
原料の間伐材や製材端材を「乾燥→破砕→圧縮」し、固形燃料にして、ストーブ
やボイラーの燃料として使います。
この、
「原料として間伐材や製材端材を使う」
点で、様々な意義が見出せます。
*ペレットについての説明は、下記サイト(木質燃料推進協議会)
http://www.woodpellet.jp/wppc/default.asp
1.ペレットをうまく活用すれば、CO2は増えない!
ペレットを燃やせば当然CO2が出ますが、このCO2は、ペレットの原料である
木材がもともと成長過程で吸収したもの。
後述のように「きちんと森林整備がなされる」のならば、ペレットを燃やす
ことで排出されるCO2は再び森林が吸収することになるので、化石燃料などと
違い、CO2は増えないことになります(=カーボンニュートラル)。
2.森林からの搬出コストが安い!
ペレット自体は専用の工場で加工・製造しますが、その原料である木材は
「山から運ぶ」必要があります。
「木を建材として運び出す」場合、大きな木(細切れにしたのでは建材
にならない)をそのまま運び出さねばならないため、労力とコストが非常に
かかります。
これに対し、ペレットの場合は対象が間伐材などの“小型の木”のため、
搬出コストが安くなるとのこと。
「間伐材を使うから安い」理由はこんなところにもあります。
3.「ペレット原料を山から採る」ことで、森林が整備される!
↓
CO2の吸収量が増える!
日本の森林は、そのほとんどが一度人の手が入った森のため、定期的に
間伐などの手入れを行わないと木がきちんと育ちません。
従来は、間伐材として出されてくる木材の使い道があまりなかったため、
森林整備が進みませんでしたが、ペレットという商品になれば、
「間伐が進む→森林が整備される」という好ましいプロセスが形成される
ことになります。
*「森林のCO2吸収機能」を考えた場合、整備された森林でなければ
CO2の吸収量が小さくなるだけでなく、逆にCO2の排出量が殖えるので
(植物も呼吸をする)、未整備の森林では、トータルで見るとCO2の
吸収がゼロになることもあるとのこと。
4.都市部でもペレットが“生産”できる!
どこの都市にも街路樹がありますが、伐採した枝などはただの廃棄物と
して処理されるだけです。
ペレットの工場は、この街路樹由来の枝なども処理可能です。
こんなところでも有効利用が考えられます。
燃料としてみた場合、1000kcal当たりのコスト比較では、ペレットは灯油
よりも安いようなので、ランニングコストでは「普及価格」にあると言えます。
後は、ストーブやボイラーなどの専用機器がどれだけコストダウンできるかが
勝負どころのようです。
さて、都市部での活用についてですが、ランニングコストが商用ベースにある
ようですから、燃料費の高騰でご苦労されている銭湯などで活用できないもの
でしょうか。
ボイラーの設置などの際に若干の補助等が出れば、可能では?
環境に優しい燃料を使う!
低コストの燃料のために、経営にメリットがある!
都市部の大切なコミュニティー・スペースの維持ができる!
都市部でもこんな「一石三鳥」の効果が期待できると思います。
そして、各地の森がペレットの“生産基地”として確立されてくれば、日本
全国の「森の駅」が、人々の
癒しの場
学びの場
生活の場(=森で十分な収入が得られる)
として、「有効に機能する」ことになると期待するのですが・・・