「港北ニュータウン」を通して考えたこと
4月25日、私も参加している行政経営フォーラムの有志の企画による
「プランナーと歩こう!港北ニュータウンまちあるき企画」
に参加しました。
「港北ニュータウン」というと、何となくのイメージですが、
・広い空間で人が伸び伸びと生活している。
・居住だけでなく、交通・商業・学校等の生活インフラが充実している。
・多摩ニュータウンは、高齢化などの問題がよく指摘されるがここに
ついてはそのような問題をあまり聞かない(私の無知によるのかも
しれませんが)
といった“先入観”があり、非常に関心をもちました。
今回の企画の内容は、港北ニュータウンを企画・設計された川手昭二氏
(筑波大学名誉教授)のお話をお聞きした上で実際に港北ニュータウンを歩き、
見て回るという“刺激的な”ものです。
しかし、当日はあいにく終日雨だったため、「歩いて見て回る」が中止に
なりました。
それでも、川手氏のお話を伺いながらの質疑応答の時間は大変充実した
ものでした(夜の懇親会も含めて)。
*川手氏のお話の内容に関わる資料が読めるものとして以下があります。
http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/edit?date=20090429
まず、たくさんの地権者がいるはずのこれだけの広大な土地に対し、どう
やったら「統一した絵を描く」ことができたのか、疑問に思っていましたが、
・地域の有力者(悪い意味ではなく)がまとまるように努力した。
・買収に当たる住宅公団側の「価格設定」が比較的納得のいくものだった。
・横浜市(当時は飛鳥田市長)が、用途に関する思い切った“誘導策”を
出した。
といった要因があったとのこと。
これによって、公団に土地を集中させることができたようです。
これを基にして川手氏のような優秀なプランナーが「絵を描いた」訳ですが、
次の点が特に印象に残りました。
1)タウン像を考える際に、KJ法を用いた→市民参加
最終的に何人が加わることになったのかはわかりませんが、地元の関係者・
市職員・公団職員など、非常に多くの関係者の思いや意見をまとめる手法
としてKJ法を採用し、活用したとのことです。
気心の知れた小数のチーム間では非常に有効な手法だと思いますが、共通
の“文化”もない多数の人間の間でこのような手法を実際に活用できたの
は、非常に珍しい例ではないでしょうか。
もちろん、全ての参加者が全面的に満足した訳ではないのでしょうが、
“総意”としてまとめることができた点、今日で言う「市民参加」の
成功例だったと言えると思います。
2)「グリーンマトリックス・システム」→空間(特に公共用地)の多目的活用・
有効活用
「どこをどう使うか?」を考える際に活用した概念とのことです。
例えば道路。
主たる機能は「人や車の通行」でしょうが、ちょっと角度を変えて考えて
みると、それだけではなく、
・立ち話の場所
・子どもの遊ぶ場所
などの多目的利用があります(現に、我が家の前の道路は、れっきとした
区道でありながら、子どもの遊び場・大人の交流空間になっています。
特に午後の一定時間帯は、その専用空間?)
これを全体の様々な空間にあてはめて再構成し、「同じ量の公共用地が
より多様な行為の対象として使われる」よう設計したそうです。
この概念、一定の地域内のコンセンサスさえ得られれば、各地で活用が
できるのではないでしょうか?(住宅地・都市部での極めて目的を定めた
道路の有効活用など)
以上のように、今回は「概念のすばらしさ」を認識するのが主でしたが、次回は
空間の中を歩き回ることにより、自らの実体験によって概念の“充当度”を確認
したいと思います。
*未定ですが、今回の“補講”がある予定です。