「大阪市の事業仕分け」から(3)

1.事業の“ミッション”を議論する必要性


 「必要か?不要か?」などの議論を通じ、これまでの事業仕分けでも状況に
 応じて行われてきたと思いますが、事業のミッションに関する議論の必要性・
 意義を改めて感じました。


 この場合の“ミッション”とは、事業の目的・意義という意味です。

 
 今回、天王寺動物園管理運営事業という事業があり、仕分けの結論は
  「市が実施すべきだが改善が必要」
 となりましたが、仕分け人の一人の方から、
  「この動物園・公園の立地や内容等から考えると、市のセールスポイント(?)
   としてもっと有効な使い方ができるはず」
 という趣旨のコメントが出されました。


 オーソドックスな(?)仕分けの姿は、現在行われている事業の有効性を
 “診断”するものですから、このコメントのような議論は通常の仕分けを少々
 飛び越えた内容です(私の理解)。
 しかし、「現在の事業をより有効な形に改める」という観点から考えると、
 この議論は非常に意義があります。

 仕分けの手順から言うと、たぶん「そもそも論での、突っ込んだ議論」になる
 のでしょう。これまでの各地での仕分けにおいて行われなかった訳では
 ありませんが、一連の仕分けの流れの中でこの点にこだわった“立ち止まり”
 が必要かと感じました。


 仕分けが「部分最適」のみならず「全体最適」のための有効なツールに発展する
 ためにも必要と考えます。


2.仕分け結果の伝え方と住民の巻き込み方について


 仕分け結果の公表はどこでもやられていることですが、実際に行われた議論の
 プロセスをできるだけ多くの住民の方に見ていただく必要があります。

 事前のピーアールにも限界があるでしょうから、いっそのこと仕分けの実際を
 記録してインターネットで録画中継してはどうでしょうか(これまで実施された
 自治体があったらすみません。私は聞いたことがなかったもので)。


 そうすれば、当日会場に足を運べなかった方も見ることができるし、当日傍聴した
 人間も全事業を見ることができます(当たり前ですが、今回の大阪市の場合も仕分け
 は2班体制で行われたので、私はほぼ半数の事業しか見ることができませんでした)。


 地方議員の私が言うのもおかしいですが、議会の本会議や委員会の中継よりはるかに
 興味深い“番組”になると思います。


 ただその際は“番組表”に、
  ・対象事業の結果
  ・議論の大まかな過程、主なコメントの内容
  ・議論にかかった時間
 等を掲げておけば、効率的・有意義な視聴ができます。


3.余談


 先日鳥取県智頭町の件をこのブログで取り上げました。
  http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/20090201

 今書いていてふと思いつきました。
 余計なお世話を承知の上で智頭町への提案です。


 智頭町において、「百人委員会」が企画・主催して事業仕分けを行っては
 いかがでしょうか。
 実現すれば、「市民主催の本格的な事業仕分け」として、きわめてユニークな
 事例になる上、一般町民の方を大きく巻き込むこともきっとできるでしょう。

  
 もう一つ提案ですが、事業仕分けをやった後、全く同じ事業を対象として、
 町議会に事業仕分けを依頼してはどうでしょうか?


 外部仕分け人による事業仕分けと、議会における事業仕分け(例えば1ヵ月後。
 公式でも非公式でもよい)をセットにして行えば、その違いだけでなく、議員の
 議論のレベルもはっきりわかると思います。


 議会の仕分けの“判定”結果が「現行通り継続」ばかりだと、「改革の意思に乏しい」
 と住民から見られるでしょう。また、外部仕分けと全く同じ結果ばかりだと、
 「オリジナリティーがない」と指摘されるかもしれません。


 ただ、この過程を通じ、現在の議員の方は大いに鍛えられると思います。
  *もちろん、私の豊島区でそのような機会があれば、私は是非やってみたいと思います。


 行政改革と議会改革を同時に行う取り組みとして、大いに注目が集まると思います。