「国の事業仕分け」傍聴記(3)-今後の展開について

今回の国への実施によって、事業仕分けの認知度も大分上がってきたのでは
ないでしょうか(テレビ報道で「事業仕分け」とはっきり言ってくれなかった
のはちょっと残念でしたが)。


より一層の効果的なあり方については、前2回の「傍聴記」でも触れましたし、
今後も追求していくつもりですので、今後の展開のあり方(?)に関し、
述べたいと思います。


1.「国の事業仕分けをさらに進める必要性」について


 今回の結果をどう生かすかは、文科省側(大臣等?)にかかっていますが、
 一定の有効性が認識されたことは間違いないと思います。
 だとすれば、そんなに時間をおかずに、各省庁の事業仕分けが立て続けに
 行われるべきです。


 内閣支持率が低い今こそ、現政権の改革姿勢を国民にはっきり示すため
 にも、この事業仕分けは「使い手がある」と思います。
 私自身には事業仕分けに対するこのような“政治的動機”はありませんが、
 動機は別でも、できるだけ多くの方々が、事業仕分けの取組みに力を入れて
 いただくことを心から望んでいます。


 そういう意味からすると、政府与党では、各省庁別に「事業仕分け担当議員」
 見たいなものを置いていただくのが、最もよいのですが・・・
  *当然ですが、機能は事業仕分けのみに限定しなくてもよいと思います。


2.今後の自治体の事業仕分けについて(こんな発展形もあったら?)


 今回の「国の実績」を踏まえ、事業仕分けに対する未実施の自治体の関心は
 より一層高まるでしょうし、それにつれて実施自治体も増えてくると思い
 ます。


 例えば東京都下では、都も含め、実施済の自治体は町田市だけですが、都や
 23区も是非実施すべきです。
 しかも、都と23区を一緒にやれば、事業の重複や効率的なあり方を同じ場で
 検討できるので、一層効果的です。


 ここから考えたのですが、今後の事業仕分けにおいては、当該自治体の
 各事業についての“判定”を行うだけでなく、「その事業についての、
 他の自治体も含めた広域連携」についても触れることができれば一層
 望ましいと思います。


 元来、各自治体は、「全ての事業を自分でやる」ことを原則とする
 “フルセットモデル”型であったと言えるでしょうが、近年の財政難の
 状況を踏まえれば、このようなフルセットモデル型は合理的とは言えません。
 「自治体の適正規模」と「各事業の合理的な適正規模」は一致しないと
 考えられるからです。


 例えばどんな事業が考えられるか?
 最も進めやすく効果が生じやすい例として、情報システムが考えられます。
 各市町村が、自治体ごとに「情報システムのあり方をどうするか?」を検討
 するより、例えば県がまとめるなどすれば、開発費用を大幅に抑えることが
 できますし、「データセンターの一括化」などを行えば、維持費用も大幅に
 抑えられます。
 *この考え方については、数年前から、機会あるごとにいろいろな人に話し
  てきましたが、先日実際にこの方向で検討を進めている県の取組みに
  ついて伺ことができました。
  これが実現すれば、格好の“モデル”になるはずです。


 以上の「各事業の合理的な適正な規模」の追求は、決して財政難からばかり
 進められるべきものではないはずです。
 典型的なのが、先に挙げた東京都23区です。
 これだけ狭い範囲に23もの自治体がひしめき合っているのですから、区の
 合併の問題は別にして、「合理的な事業連携のあり方」はいくらでも追求
 できるはずです。


 「事業の合理的な姿を多面から提示する」
 こんな発展形も検討していきたいと考えています。