「仕分け人デビュー」を終えて感じたこと・考えたこと

7月26日(土)、町田市での事業仕分けに際し、初めて仕分け人(評価者)と
して参加しました。
個人的な満足度・充実度・自己評価という点では、「まだまだ」というのが
率直なところであり、次の機会に向けて一層のレベルアップの必要性を痛感
しています。


さて、これまではこの事業仕分けに対し、“外部評価者”の眼からいろいろと
考え、指摘してきましたが、初めて“当事者”の立場になり、改めて考えた点・
気づいた点があります。
立場が変わって改めて認識できた点とでも言えましょうか。


1.論点の基本的な“型”について


 私が加わった第4グループの仕分け人5人中、私も含めた3人は今回が
 「仕分け人デビュー」でした(自治体職員1、民間1、地方議員1)。
 もちろん、デビューといっても仕分け自体については各自が何度も見て
 深く考えてきたので、いわゆる“素人傍聴者”ではありません。
 しかし、他のベテラン仕分け人2人と比べると、実力(?)が十分発揮できた
 とは言い難いと思います。
 知識や経験等の不足もそうでしょうが、一つの理由として、論点・眼の付け所
 といった点での基本パターンとでも言うべきものが十分自覚できていなかった
 ことが挙げられると思います(少なくとも私の場合)。


 今回私のグループで扱った事業はどちらかと言えば内部管理的・維持管理的な
 事業が多かったのですが、この種の事業の場合の「改善の論点」は、例えば、
  ・「人件費の中に正職員分がどれだけ含まれているか?」
    →正職員が多い場合、一般に民間の方が「人のコスト」が安い以上、
     当然改善できるはず。
  ・「数字上の現状分析がきちんとなされているか?」
    →「不定形なパターンがあって、その対応に正規職員が追われる」など
     の答えが返ってきた場合、「じゃあその数字は?」と聞いて明確な
     答えがなければ、“ドンブリ勘定”の問題点が指摘できる。
 などが基本になるはずです。


 私の場合、事前の“予習”であれもこれもと考えていたのですが、さして
 “予習”もしていない感じのベテランのお二人(失礼!)が鮮やかに仕分けを
 こなしていかれるのとわが身を比べると、この点での「基本の自覚」が大きな
 分かれ目だったと反省しています。


 「短時間の中で、明確で合理的な指摘を指摘していく」のが事業仕分けである
 以上、「基本に忠実」が必要なようです。


2.仕分け人に必要な要素とは?


 上記1の論点とも関連しますが、仕分け人側の基本的な論点からの指摘に説得力
 をもたせるのは、「具体的な事例をしっかりと把握している」ことだと、改めて
 痛感しました。
 同じグループの仕分け人だったM氏など、「○○市ではこうやった」という
 事例を、ポイントを衝きながら指摘されていましたが、こうやられると、説明者
 (=町田市の担当職員)も反論できなくなります。


 その意味で、博覧強記的な知識は必要ないでしょうが、基本論点に沿ったしっかり
 した事例の知識が必要だということが、当事者になって改めてわかりました。


3.「説明者を議論に巻き込む」ことの重要性


 上記2つはどちらかと言うと“反省”に近いものですが、もう一つ、今回
 事業仕分けの新たな可能性として、「説明者を巻き込む」ことの必要性と効果が
 認識できました。
 

 私のグループの事業では、道路維持事業と街路樹等育成事業が同じ担当課の事業
 でしたが、説明に当った担当課長が極めて“前向き”な方であり、我々仕分け人
 側からの「来年の予算にどうのこうのという視点からではなく、長期的に考えた
 場合どう考えるか?」との問いかけに対し、「長期的に考えた場合、その通り
 です」という回答をされていました。
 

 仕分け人と説明者が“対決”するのえはなく、このようにうまく議論に巻き込む
 ことができれば、当該自治体にとっても、説明者にとっても、大変有益な議論
 になると思います。
 私にとって、この点は大きな収穫の一つでした。