事業仕分けの理想的なあり方とは?−草加市事業仕分けから考える!

6月28・29日の二日間に渡って行われた草加市事業仕分けを傍聴してきました。
新たな“発見”も含めて、今回の感想(収穫!)です。


1.仕分けの議論の仕方はどうあるべきか?

 今回の事業仕分けは2グループで行われましたが、意識的に2つのパターン
 に分けられていたようです。
 仮に名づけるとすれば、
 「論点抽出→グループで議論」型
 と
 「仕分け人による自由討論」型
 とでも言いましょうか?

 前者が初登場の新しい型であり、後者が従来型です(私の認識)。
 個人的な好みで言うと、前者の方がしっくりきます。

 初登場の前者のプロセスは(全部で30分が標準)、
  1)職員の説明
     ↓
  2)仕分け人の質疑
     ↓
  3)コーディネーターが論点を抽出して提示
     ↓
  4)論点に基づいて仕分け人が議論
     ↓
  5)議論の結果を受けて、仕分け結果を決める
     ↓
  6)各仕分け人が、結論を出した理由を述べる
 です。
 このパターンだと、論点に集中して議論ができるので、「議論が交わる」
 を通じて、文字通りの「議論」が“実演”されます。
 その結果、グループ(チーム?)としての結論が出されることになります。
 
 ただ、このパターンは論点を選択するコーディネーターの技量に依るところ
 が大きいので、その意味でのリスクが大きいとも言えます(今回について
 言えば、コーディネーターのK氏はとてもよかったです)。


2.「提案」として、より有効性を発揮するには?

 毎回感じていたのですが、「結論としてこの事業をやってもいいけど、
 改善が必要」というのが結果的に多くなるはずです。
 だったら、“改善”について、「もう一歩踏み込む」ことができないか?
 
 難しいのは承知の上ですが、例えば、「市民や地域団体がやるべき!」と
 の結論なら、そういう関係の方の意見を聞いてみたいと思います。
 
 ただ、最初から結論が決まっている訳ではないので、「仕分け人のバラエティー
 をどう揃えるか?」は非常に難しいです。


3.「市民」を仕分け人に加えるべきか?

 実施した市の意向が最優先に尊重されるのでしょうが、結論としては
 「加えない方がよい」
 と考えます。
 今回についても、市民仕分け人の方々は、こだわらなくてもよい点にこだわった
 り、「事業仕分けの常識」を時間をかけて説明しなければならない場面が多々
 ありました(要するに、時間内に終えることを優先して考えると、ムダが多い)。
 もし市民を加えるとすれば、
 「職員はこう説明したけど、市民の立場ではどうか?」
 という点を確認する“参考人”的な立場がよいと思います。


4.もっと発展的な事業仕分けの形について

 これは個人的な関心事かもしれません。
 現行の事業についての判断だけでなく、もう少し「問題提起」に踏み込めない
 でしょうか?

 例えば、東京23区のどこかの区で事業仕分けをやるとして、「要不要」「区か都か」
 だけでなく、「事業規模として、どの区とどの区を一緒にするのが合理的か?」
 という観点からの判断もあると思います。
 わかりやすい例を挙げれば、23区はそれそれ別々にコンピューターシステムを
 事業としていますが、共通にしてしまってもたぶんほとんど問題はないはずです。
 (多少の違いはあるでしょうが、、「○年後の統合」と決めてしまえば、銀行の
 システム統合よりはるかに楽ではないでしょうか?)

 こんな観点からの“提案”ができたら、もっと面白いと思います。


以上は勝手な“雑感”も含めたコメントです。