東京都と23区の今後の関係−本当に必要な議論とは?−

これまで、東京都と23区の間では、「財源と権限の移譲」に関し、近年の
「国と地方の関係」に似た議論が行われてきました。


現在は、「都区のあり方検討委員会」なる協議組織が設けられ、
 「現行の東京都の諸事業の中、どの事業を23区に移行することができるか?」
を議論しています(http://www.tokyo23city-kuchokai.jp/katsudo/arikata.html)。


様々な観点から現状を議論するのは結構ですが、今の議論の状況を見ていると、
どうも「単なる縄張り争い」的な傾向が見られる気がします。
上記「事業の移行」問題について言えば、「どの事業を23区が引き継ぐか?」
の判断基準は、「移行した結果、23区の住民にどれだけメリットが生れるか?」
をポイントにすべきですが、どうも現状ではそうではないらしい。


例えば、今議論になっている下水道事業。
23区側は「東京都から受け継いでも大丈夫」と主張していますが、
  ・住民にとって、現在よりも、どんなメリットがどれだけあるか?
  ・受け継いだ後に事業遂行に支障がないか?
についての論拠がほとんど示されないまま「本来市町村の事務なのだから、
区がやるべき!」では、あまりにも“無謀な”主張になるのではないでしょうか。


先日(昨年12月17日)の都区間での議論では、ある区長が、「事業の移行⇒
自治権拡充」という考え方から、
 「自治権拡充という運動は、もしかすると分散することで一部効率性が
  損なわれるおそれが多分にある。しかし、それを押してでも自治を拡充、
  確立するというのが特別区の悲願である」
との発言をしたようですが、一般住民の最大関心事は
 「安全な水を、低コストで供給してもらうこと」
であり、安全・低コストを犠牲にしてまで「自治権拡充を望む」住民は多くない
(というよりほとんどいない)はずです。
個人的な“悲願”を23区住民の“悲願”に置き換えるのは、「越権行為」だと
思いますが・・・
*この発言については、以下のP10に記載
 http://www.tokyo23city-kuchokai.jp/katsudo/arikata/pdf/191217/191217_youshi.pdf


ではどう考えるべきか?


私は、都と区の間で、現行事業のサービスのあり方・コスト等に関し、
「建設的な提案競争」をすべきと考えます。
水道事業に関して言うと、もし区側が事業の移行を求めていくのであれば、
民営化などの「大胆な改革案」を提示すべきではないでしょうか。
*詳細はまだ把握していませんが、現行の都の水道事業の中には“有効活用”
 の可能性がある資産等がかなりあるようです。これらの整理・活用を
 めざす提案だけでも、大いに意義があるのでは?


現在の東京都の諸事業に関し、昨年までの大阪市の改革案のような
「事業ユニット」単位の提案を民間から募ってもよいと思います。
「民間の知恵」は、このような大きな問題で使ってこそ、得られる効果も大きく
なると考えます。
 *昨年までの大阪市の改革案は、
 http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/kaikaku/kaiken/shiryo/bunseki/unit.html