天才は創れるか?子どもの脳の発達に関する研究について

今日のタイトルは、「天才の創りかた」(川島隆太講談社インターナショナル、2004)
という本に拠っています。


「脳のトレーニング」で知られる東北大・川島隆太教授が
 「どんな生活パターンをすれば脳がよく発達するか?」
との調査に乗り出すとの記事がありました。


目的は、
「脳の成長に影響を及ぼす項目を解明する」(=脳の成長には何がよいか?)
ことだそうで、そのために、
 ○小中高校の児童・生徒1,000人ほどを対象として、6年ぐらい(?)の
  追跡調査を行う。
 ○一定期間ごとに簡単な知能テストを行い、その際の脳の反応の変化等を比較
  していく。
 ○併せて、日常生活に関するアンケート(食事や睡眠、テレビの時間、塾通い
  の有無など)も実施する。
 ○これらによって、生活習慣の違いが脳の発達にどう影響を及ぼすか、分析する。
などの調査研究を行うそうです。


川島教授とは、福祉分野の学習療法(認知症の改善・予防)を通じて何度か直接
お話を伺い、豊島区の福祉施策に対する“協働的試み”も経験させていただいた
ので(http://www.hino-katsuaki.com/report/report2005-1.html)、これらに
関する同教授の純粋な思いや夢は「かなり理解できる」つもりです。


さて、このたびの研究、どうやって成果を出すか、に非常に興味があります。
私は“理系素人”の人間ですが、その私でも、この調査の難しさが何となく
わかります。
例えば、「読書は脳の発達によい」というのは、経験的にわかりますが、これを
厳密にかつ科学的に証明しようとすれば、
 ・同じ年齢・同じ知能レベルの子どもを比較対象として複数置く。
    ↓
 ・その子どもの間で、例えば、
   「読書を全くやらない」
   「読書を通常程度やる」
   「非常に読書する」
  などの、生活パターンの相違を設定し、その生活習慣を“徹底”する。
    ↓
 ・一定期間ごとに調査し、比較する。
などの「科学的調査」が必要なはずです。
しかし、研究対象は「将来ある子ども」ですから、このような「目的のための
生活パターンの徹底化」は難しいのではないでしょうか。
自分が親の立場なら、
 「私の子は、『読書なしのグループ』には入れて欲しくない」
と思うでしょうし、現実に、生の子ども相手に、こんな徹底はできないでしょう。


このような点をどう“克服”するのか、まず興味があります。


もう一つ、「比較研究のポイントにどういう項目を置くか?」にも興味があります。


たとえば、「子どもは伸びる」のですが、その大きな要因として、日常的な生活
パターンの方が影響が大きいのか、「トピック的な感動体験」などの方が影響
が大きいのか、どちらなのでしょうか。
察するに、総じて前者なのでしょうが、
 「子ども心に残る印象的な経験を幾つしてきたか?」
も、人間形成に非常に影響を与える気がします。
ですから、個人的には、このような点も調査・分析のポイントに入れていただきたい
と思います。


いずれにしろ、最終的にどんな結果が出るか、大い注目していきたいと思います。