都市と地方の格差是正 豊島区における「傾向と対策」は?
都市と地方の税収格差是正を目的とした税制改正の影響がどうなるか、様々な
議論がなされています。
全体的な議論もそうですが、個々の“住民”にとっては、「自分の自治体への
影響はどうか?」というのが最大の関心事でしょう。
先日、「取られる側」(?)である東京の中の豊島区についての「試算」が
示されました。
全体レベルの議論がどうなるかでこの数値も当然大きく変わりますが、今の2つ
の案に基づいてそれぞれ試算しています。
?財務省案の場合
法人事業税・法人住民税を国税とし、都道府県ごとの全事業所数・就業者数
といった「新基準」をもとに配分する。
東京都への影響額 4,606億円減
↓
豊島区への影響額 76億円減
(23区全体への影響額2,533億円減の中、豊島区分2.99%)
?総務省案の場合
消費税の地方の取り分を1%増やし、同規模分の地方法人2税を国税に
切り替える(消費税と法人2税を同じ総額分で交換)
東京都への影響額
・法人住民税の収入:3,296億円減
・消費税の収入:3,288億円増
↓
豊島区への影響額 8億円減(54億円減+46億増)
(法人税:23区全体への影響額1,813億円減の中、豊島区分2.99%。
消費税:23区全体への影響額1,410億円増の中、豊島区分3.26%。)
??いずれにしても、豊島区は収入減となり、その額も「見過ごせない」規模
になりそうです。
今、都や区は「東京富裕論」への反論を様々な観点から展開しており、確かに
地方交付税もあわせた収入総額では東京も地方もそんなに差はないとも言えます
が、民間もあわせた「社会インフラ」も考えあわせると、どう考えても「格差」
の存在は否定できないと思います。
*例えば、今年8月に週刊ダイヤモンドが特集した「全国805都市のランキング」。
豊島区の区長は「全国2位だ」とあちこちで自慢していますが、豊島区が高く
評価された評価項目には「病院の数」や「塾の数」など、自治体が直接関与
していない項目が入っています。
これらもあわせてランキングがつけられること自体、“税”だけではない格差
の存在を示していることにならないでしょうか?
以上が、「傾向と対策」で言えば、今後の「傾向」です。
続いて「対策」と言えば、これは明らかでしょう。
収入減が見込まれている以上、
「大きな投資・出費は当面控える」
が基本線になるはずです。
今、豊島区では、
・新しい庁舎をつくる。
・路面電車を走らせる。
など、大きな「公共投資」の話が区側から持ち上がっていますが、上記の「傾向」
を考えると、大変リスクの大きい計画だと私は考えます。
将来の収入が減る中で一旦大きな出費をして借金をつくれば、その返済は将来世代
を苦しめることになります。
今の豊島区には、夢や期待以上に、冷静な議論が求められているのではない
でしょうか。