地方自治体の「庁舎」のあり方について

このブログで、自身が住む豊島区の「新庁舎問題」を何度か述べてきましたが、
一般論としての「庁舎のあり方」にも大いに通用する内容なので、まとめて
みます。


1.庁舎の姿・大きさ

  結論から言うと、「機能をできるだけ合理化」「スペースを極力圧縮」
  した「コンパクト庁舎」(一般にこういう用語は聞きませんが、わかり
  やすくするために私がとりあえずつくりました)が望ましいと考えます。


  そもそも、庁舎(市役所・区役所等)を考える際に、「まちのシンボル」
  とか「住民自治の象徴」などといった、余計な概念を加えること自体が
  問題の始まりです。
  地方自治法4条を見ると、庁舎は単に「事務所」と記載されていますが、
  このように「公共的な、単なるオフィスである」との前提をもって考える
  べきなのではないでしょうか。
   「庁舎はシンボル」
      ↓
   「あれもこれも様々な機能が必要」
      ↓
   「スペース大・コスト増」
  といった「望ましくない連鎖」が生まれるのではないでしょうか。


  では、どうやって「コンパクト庁舎」にするか?
  次の4点ほどがポイントと考えます。
   ①不要な機能・他で代替できる機能はできるだけ削る。
   ②「外に出せる」機能はできるだけ外に出す。
   ③住民が使える情報化を進め、「住民が役所に来なくても済む」サービス
    のあり方を実現する。
   ④③と同様の理由で、コールセンターを徹底活用する。


  ①の例として、これまで挙げてきたのが、議会の議場です。
  あんな「ミニ国会議事堂」風のものは他の会議では使えないが故に、どこの
  自治体でも稼働率が悪いのではないでしょうか。
  ②の例としては、民営化の推進です。

  
  以上を徹底的に追求すれば、非常にコンパクトな庁舎が現実化できるものと
  考えています。


2.庁舎の位置

  「コンパクト庁舎」が実現できれば、庁舎の位置についての選択肢は広がり
  ます(コスト・スペースが小さくなるから)。


  ではどこがよいか?


  “ベスト”はやはり住民の交通の利便のよいところです。
  そう考えると、「駅及びその周辺」が最もよいのではないでしょうか。
  普通、駅は、自治体の交通の要衝の位置にあることが多いと思います。
  ですから、駅に庁舎があれば、住民にとっては最適のはず。


  もう一つ、この考え方、現在国が進めている「コンパクトシティ
  「中心市街地の活性化」にも合致する考え方だと思います。
  駅を中心に都市機能が集約・形成されればこれほど合理的な都市の
  あり方は他にないのではないでしょうか。


  ついでに言えば、鉄道会社にとっても、この考え方は「望ましい事業
  戦略」になるはずです。
  極端に言えば、「駅ナカ」にさらに行政サービス提供機能が加わる訳
  ですから、よりお客を集めることができる。
  また、駅を中心に自治体全体から人が来る訳だから、旅客輸送が
  増やせる。


もしこの通りに全てがうまくいけば、
 「住民にとってよい」(利便性など)
 「行政にとってよい」(コスト削減など)
 「鉄道会社にとってよい」(事業収入増など)
という、一石三鳥の効果が期待できると考えています。