尺八の音の多様性と魅力について
一昨日、ヤマハ銀座店での、中村明一氏の尺八によるミニライブを聴いてきました。
*写真は同氏の演奏風景。同氏のサイトは、http://www.kokoo.com/index.html
現在、同氏による「『密息』で身体が変わる」という本(新潮社)を読み始めた
ところであり、呼吸の“実際”はどのようなものなのか、この目で見て来ようと
いうのが目的でした。
ちょっと見ただけでしたから、「呼吸法」についてまではよくわかりませんでしたが
(それでも、あくまで私が見た範囲ですが、あれほど長く“息”の続く奏者はまず
いないのではないでしょうか)、非常に印象深かったのは、その音色です。
今回のライブが、虚無僧尺八の音楽アルバムの発売記念ということで、“普通”
の曲と異なり、虚無僧音楽(というジャンルがあるかどうかはわかりませんが)
の独特の音に惹かれました。
私の理解ですが、風の音や草木の音、水の音、鳥や獣の声などを、自然に“再現”
していくのがこの分野の尺八の特色なのだと思います。
今まで、自分が尺八を吹く際は、必ず何らかの曲の演奏を目標にしていたのですが、
それ以前の、「どういう音を自分の理想の音としてイメージするか?」という基礎的
な課題があるのではないか、などと気づかされた気がします。
でも、考えてみると、尺八は自然の中にある竹からできたものですから、もともと
の音のイメージとは、上記のようなものだったのでしょう。
以前、このブログで「口琴」(こうきん)を体験した時のことを書きましたが
(http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/20051101)、モンゴルあたりの口琴
のCDを聴くと、曲というよりは、雨だれの音や馬の駆ける音など、彼の地の
人間にとって身近な音が主テーマのようでした。
尺八を通じて、「音の日本文化」を味わってみたいと思います。