ETV特集「学校が変わる 子どもが変わる」を見て

11月4日にNHK教育で放送された ETV特集「学校が変わる 子どもが変わる」、
撮っておいたビデオを今日見ました。


杉並区の民間人中学校長である藤原和博氏に関しては、様々な報道・
解説などがあるので、もちろんその“実績”についてはある程度の知識
はもっていましたが、実際の授業現場を目にしたのは初めてです。


藤原氏自身が講師を務め、世の中の様々な仕組み・問題について生徒に
考えさせる「世のなか科」の授業風景が中心でした。
今回の放送では、少年法がテーマでしたが、この問題を考えさせる際、
実際に起きた事件をもとに「罪とは?」「刑罰とは?」「裁判とは?」
など、関連する“課題”を生徒自身に考えさせていく授業スタイル、
実に興味深く見ました。


自身が受けてきた小学校・中学校教育(私は仙台の公立です)も含め、
なぜ学校の先生の語る「社会の姿」に現実感が乏しいのか、これまで
も考えてきましたが、この藤原氏と比較すると、社会経験・意欲・
能力の点で違うからだということがよくわかりました。
例えば、私が学校で習った「民主主義」ですが、今覚えているのは、
「みんな仲良く明るい社会」といったイメージであり、今考えると、
教師自身がその程度の認識しかもっていなかったからなのでしょう。
*余談ですが、教師の方の社会経験・意識の状況はどうなっている
 か、番組を見終わって改めて考えました。
 例えば、「教師」という職業にある人間の中で、何%の人間が
 選挙で投票に行くのか、そんなデータがあれば、面白い分析・
 検討ができると思います。
 ご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えてください。


さて、このような「バーチャル社会体験」、必要性に異論を唱える人
は少ないでしょうが、「うまくやる」ためには(評価されるような
ものにするには)、
 ①教える側に相当程度の「社会体験」があること
   授業自体はバーチャルでも、教える側にバーチャルな知識しか
   なければ、それは単なる“お遊び”にしかならない。
 ②①を前提に、創意工夫できる能力があること
 ③従来の教育法の枠を超えようとする意欲があること
 ④チャレンジしてうまくいかなかった場合、自分で責任を負える立場
  にあるか、または、人事評価上の「失敗の許容」が担保されている
  こと(もちろん、許容されるのは全ての失敗ではなく、「意味の
  ある失敗」に限定すべきですが)
などが必要でしょう。


そう考えると、ほとんどの「学校の先生」には無理だと思います。
②と③については、少ないながらもその要素を備えた教師はいるかも
しれませんが、①と④の点で、ダメでしょう。
やはり、民間からの「異質の血の投入」を大いに進める必要があります。


でも、それをやるには、その自治体のトップ(=首長)の意欲・能力と
「腹のくくり方」が根本で必要になります。


教育改革を進めるには、やはり選挙で“人”を変える必要があります。