書評:「変えよう!日本の学校システム」を読んで
「変えよう!日本の学校システム」(古山 明男、平凡社)を読みました。
教育に関しての「お奨め本」です(私の正直な感想)。
教育について議論をすると、「百人百様の考え方がある」と言っても過言
ではないと思います。
ですから従来、教育に関する本というと、「自分のこの考え・やり方が
よい」的なものが多かったような気がします。
でも、所詮、「万人にピッタリの教育法」などある訳がないのですから、
「あれがよい」「これがよい」と言い合っていたのでは、日本の教育問題
という大きな課題の解決にはつながらないと思います。
その点、本書は、著者が考える(or理想とする)教育方法に“脱線”せずに
制度問題に焦点を絞っており、この点が大きな特長と言えます。
内容は、大きく
・現在の教育現場の諸問題
・それを引き起こす制度の問題
・問題解決のための改善提案
の3つに分かれています。
私なりにまとめさせていただくと、次のような点がポイントでしょうか。
(あくまで、個人的な要約です)
①人それぞれに、価値観や能力、成長速度等が異なるのだから、現行制度
のように同じ方法を全ての子供に適用しようというところに無理がある。
様々な問題が起きる根本の原因はここにある。
②だから、様々なニーズに応じた新しい教育方法・学校がどんどん
形成されるべき(生れてくるべき)である。
一般社会を見ても、消費者の新しいニーズに対応するため、新しい
やり方を提示する企業が次々と生れているではないか。
③そのためには、「私立学校がつくられやすい仕組み」が必要である。
現在の私立は、つくるのも通うのも“垣根が高い”存在になっている。
④公立についても、現場の自由度とともに、生徒・保護者からの意見反映
システムが必要。また諸外国に見られる「教師のサポートシステム」も
必要(日本の場合は、形式的で実効性に乏しい)。
⑤この点を考えると、北欧型の教育システムがこれからの日本に合って
いるのではないか。
⑥③を進めるためにも、小学校から高校までの教育費無償化が望まれる。
そして、それはそれほど大きな財政負担とはならない。
ただ、次の点を、疑問というか、私との違いと感じました。
それは「教師への見方」です。
どちらかと言うと、著者は、教師を「性善説」的にとらえられているのでは
ないか、という気がします。
私は、「ちゃんとしない教師」が多いことを前提に、物事を考えた方がよいと
考えています(性悪説?)。
ですから、何らかの方法で「お尻をたたく」システムが必要だと思います。