「地域区民ひろば条例」に反対して意見表明を行いました

 3月28日、このたびの定例区議会で提案された各条例案等に対する
最終的な“採決”が行われました。


 その中、これまで私が再三指摘してきた「地域区民ひろば条例」
http://www.city.toshima.tokyo.jp/hiroba/hiroba01.html
対する私の意見表明の内容をお知らせします。


 私は、今回提案された同条例に反対しました。
 主な理由は、以下の通りです。

  ①「地域区民ひろば」は、地域住民の自主運営・自主管理をめざす
   ものだが(“過去”にはめざしていた?)、その方向性が全然
   明らかになっていない。
    モデル地区を設けて“実験”をやったが、結局“実験”に
    ならなかった。自主管理・自主運営を担う組織として、既存の
    町会等に期待したが、やはり無理だった。
    その後の「じゃあどうするか?」が何もないままである。

  ②①の結果、「施設配置の合理化」の面ばかりが強調され、一部
   の地域で「必要な施設が廃止される」という問題が起こっている。
    ↓
   これでは、単なる「施設の合理化条例」に過ぎない。

  ③2年前にこの構想が示されて以来、1年ごとに担当課長が変わって
   いる(また変わる)。
   これでは新しいことをやろうとしても、住民との信頼関係は
   築けない。
  

 先日の区の広報には、4月から「地域区民ひろば」が始まるとの記事
がありましたが、ここ数年あれだけ区の文書で書かれていた「自主運営」
「自主管理」などの文字が一つもありません。
 上記の私の懸念を示すよい例と言えます。


本会議場で述べた意見表明(=討論)の全文は下記になります。
 *先日の「予算に対する意見表明」
 (http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/20060324) 
  でも同様の趣旨を述べていますので、一部は省略しています。
      ↓
私は、第18号議案「豊島区地域区民ひろば条例」に対し、区民厚生委員会
での可決との結論に反対する立場で討論を行います。


私は、「地域区民ひろば」については、これまでもいろいろな場で申し上げて
きましたが、今、拙速に条令化することに反対の意味で、改めて申し上げたい
と思います。


これまで、私は、地域区民ひろばは、行政機構のスリム化だけでなく、豊島区
の地域の活性化にも結びつく可能性をもつものと考え、それだからこそ、
昨年来、各委員会等の場で、これまでのモデル事業への批判も含め、様々な
指摘をしてまいりました。
そして、本格的な事業実施に当っては、慎重の上にも慎重を重ねた検討が
なされるべきとも指摘してまいりました。
今、条例案が出されておりますが、提案された条例に基づく地域区民ひろばの
運営が、本当に地域の活性化・自主的活動の推進に結びつくと言えるどうか、
私は大いに疑問を感じております。


まず、運営協議会についてです。
運営協議会は、地域区民ひろばが掲げる「地域の自主的な管理運営」の核と
されているものと私は認識しています。
運営協議会については、誰がどのように加わっていつできるかという形式的な
設立の問題もありますが、より本質的な問題が他にあるものと考えます。
それは、その運営協議会が、その地域の多くの住民から、その地域を代表する
公的な存在としてどう認められていくかという点、そして、組織の中に、
自主的な管理運営と主体的な活動の展開を志向するモチベーションをどう醸成
していくかという点です。
この2点は、言葉で言うのは簡単ですが、実際に実現していくのは大変難しい
問題であり、私もできるだけ多くの考え方や実例を知るべく努めているところ
です。
この観点から本区の地域区民ひろばの現状を見るとき、運営協議会の形式的な
設立もそうですが、この「公の背負い方」「自主管理・自主運営を志向する
モチベーションのあり方」という2点がどう備わっていくか、その方向性・
道筋が曖昧なままだと私には見えます。
このような段階で、言わば見切り発車的に制度化に突き進むのは適切とは
言えないと考えます。

次に、各地域区民ひろばにおける施設配置の問題です。
今定例会でも幾つかの陳情が出されておりますが、施設ニーズについての
区側の判断と、地域の区民における実際のニーズとの間に、乖離があるのでは
ないかと考えているのは私だけでしょうか。
地域の区民の自主的な活動を発展拡大させていくのが地域区民ひろばの本来の
姿であるとするなら、この点についても一層の慎重な検討が必要と考えます。
以上、地域区民ひろばに関する主要な問題点を述べましたが、これらの問題へ
向けたある程度の方向性が見えない段階での制度化は、単なる
「施設の合理化制度」になってしまう恐れがあるものと、私は危惧します。

広報としま3月20日号・2ページで、「地域区民ひろばがスタートします」
との記事がありましたが、そこには、地域区民ひろば構想が示された時から
何回も言われてきた「自主管理」「自主運営」「区民主体の活動の促進」
などの言葉が一切なく、まさに私の危惧が杞憂ではないことを示している
のではないでしょうか。
現に、この記事を見たある区民の方から、「これがここ何年か盛んにアピール
されてきたあの地域区民ひろばなのか?」との問い合わせがありました。

コンセプトの修正や区民の意識との乖離を埋めるなど、本格実施までにはまだ
やらねばならないことがたくさんあると考えます。

拙速な条例化には反対します。

以上、討論を終わります。