韓国人コンサルタントの講演−日本のIT業界は“大いに”遅れている!?

 今日、「韓国人企業家が教える電子自治体のつくり方」というセミナーに
参加しました。


 講師は、イーコーポレーションドットジェーピー社長の廉宗淳(ヨムジョンスン)
という方です。
 同氏は、実は、IT業界・自治体関係者の間では「知る人ぞ知る」大変名の知れた方
です。
 昨年、佐賀市において、従来の「汎用機」(いわゆる大型コンピュータ)を核と
するシステムが、「サーバー」によるオープンシステムにとってかわるという
“革命”が起きました。
 同氏はこれを実現したキーマンの一人です。


 さて、私の印象に残った講演内容です。

1.自治体について
 ①ITの技術・コストについて、妥当性を検討できる能力をもつ職員が必要。
 ②自治体のITに関する態度は「丸投げ」が中心だが、これを「アウトソーシング
  と誤解している。①の能力を備えた上で実際の作業を外部に任せるのが
  「アウトソーシング」であり、右も左もわからない「丸投げ」とは全く違う。
 ③公務員自らが常に(IT関係の)技術を勉強するような環境をつくることが大事。
  (逆に言えば、今の日本の自治体職員は自らすすんで勉強しようとしない)


2.日本のIT業界について
 ①「高コスト構造」であることに早く気づくべきだ。
  (世界的に見ると、日本のIT業界は競争力を失っている、ということ)
 ②新しい技術に鈍感である。
  *私の理解では、個々の技術もさることながら、それを組み合わせて作業内容
   全体を効率的にすること、これまでとは異なる結果を生み出そうとすること、
   等の意識の点で、劣っている。

などでしょうか。


 もう一つ興味深かったのは、「革命」では物事が変わるが、「改革」では物事は
変わらない、との指摘です。
 よく言われるように、韓国は90年代の金融危機を境に、ITをはじめとして、
物事が大きく変わりました。
 氏によれば、「国民の3分の1が失業するような状況は『改革』ではなく『革命』
であり、それがあったからこそ、現在の大きな変革ができた」ということです。


 今の日本では「革命」が期待できない以上、「改革」を「革命」のようにするには
どうしたらよいか、と考えます。
 自治体にとっては、首長のタイプ・あり方が根本的に変わることでしか「革命」は
期待できないでしょう。