「地方議会の評価」について、日野の投稿が雑誌に掲載されました
昨年お知らせした「関東1都6県」の市区議会の評価について、
1月18日発売の「地方自治職員研修・2月号」(公職研)に私の
投稿が掲載されました。
調査内容の説明だけでなく、感想的なコメントも載せております。
下記が投稿文となりますので、是非ご覧ください
*調査内容・調査結果については、http://hirakaretagikai.com
に記載されています。
以下、投稿文
↓
あなたのまちの議会は「何点?」
−議会活性化等に関する調査について−
【1.はじめに】
近年、会社や個人・自治体など、様々な主体への評価が盛んに
行われている。
これらの評価は、他との“比較”を明確にするため、点数評価
とされることが多い。
ところで、地方議会についてはどうであろうか。
これまで様々な調査がなされてきたが、おそらくこのような点数
評価はなかったと思われる。
このたび、「開かれた議会をめざす会」
(http://hirakaretagikai.com)では、この“タブー”に挑戦し、多数の
議会の点数評価を行った。様々な議論はあろうが、意欲的な
取り組みと自負している。
【2.アンケート調査の内容】
1)調査対象
東京・栃木・茨城・群馬・埼玉・千葉・神奈川の全市区議会(計192)
を対象とし、181市区から回答があった(回答率94%)。
なお、栃木県:真岡市、茨城県:筑西市・結城市・鹿嶋市・神栖市、
群馬県:藤岡市、埼玉県:深谷市・蕨市、千葉県:浦安市・四街道市、
東京都:東村山市からは回答がいただけなかった。また、稲敷市から
は「調査期間が合併前のため、回答を見送る」との連絡があり、
調査対象外とした。
2)アンケートの作成・集計・分析を行う際の基本的な考え方
点数評価を行う以上、何らかの基準・考え方の指針が必要で
ある。同じ項目であっても、価値の大小は人によって異なるからで
ある。
そこで、私たちは次のような視点に立って質問項目・配点等
の設定を行うことにした。
ごく常識的なものと考えるが、いかがなものであろうか。
①議会に属する各議員は、公式の場においてできるだけ活発に
発言すべきであり、かつ、そのような機会が確保されるべきで
ある。
②行政・議会の情報は、できるだけ住民に公開されるべきである。
③住民参加等の要請に対しては、できるだけ配慮がなされるべき
である。
3)質問項目と配点について
2)の視点から、約40の内容とし、全300点満点で、配点基準に
該当した場合に加点する方式とした。以下に代表的な項目を
挙げるが、詳細については、別紙の「アンケート項目と配点」
をご覧いただきたい。
①「議会の活性化度」についての質問
・一般質問・討論の活発度→全議員中の何%が行ったかで、
0〜30点・0〜10点
・議員による条例提案の有無→ある場合に10点
・請願や陳情をした市民が公式に意見を述べられるか否か
→可能な場合に10点
②「議会の公開度」についての質問
・全委員会が傍聴可能か否か→可能な場合に10点
・会議録は公開されているか否か→公開されている場合
に5点
・政務調査費の領収書は公開されているか否か
→公開されている場合に10点
なお、“採点”に当っては、「記載内容が実情通り」との前提に
立った。
また、討論の数等、記載のない回答もあったが、「回答への
まじめ度」の観点から、回答のあった自治体との差をつける
意味で、0点とした。
「政務調査費の支給がない」議会もあったが、「政務調査費
の支給は、議員の活動を充実化・活発化させることにつながる
ので、支給すべき」との観点から、この項目を0点とした。
【3.調査結果について】
1)総合ランキング(詳細は別紙)
1位・224点の小金井市議会から、最下位63点まで、非常に
バラつきがある。
2)各質問項目の全体の状況(=当該項目に関し、加点された
のは全体で何%か?)
点数評価と同時に、全体の状況について集計を行った
(詳細は別紙)。特徴的な点は、
①一般質問の数(1定例会で全議員の何%が質問を行うか?)
→平均50.1%。因みに、最高は113.3%(高崎市)で、
最低は7.6%(横浜市)。
②討論の数(1定例会で全議員の何%が討論を行うか?)
→平均20%。因みに、最高は118.3%(新座市)で、最低は
0%(複数あり)。
③全委員会の傍聴が可能か?
→ 「可能」は、全体の75.6%。
④政務調査費の領収書は公開されているか?
→ 「公開」は、全体の57.2%。
【4.得点差が生じる背景】
該当数の多少が得点差となって現れる訳であるが、なぜ
このような違いが生じるのか。
一つには、議会の前例踏襲主義があろう。どこの議会でも、
大きく異を唱える議員がいなければ、前例通りとされがちで
ある。この結果、「非公開が当たり前」の議会は非公開が
“常識”となる。
また、子どもじみた話であるが、「足の引っ張り合い」「ねたみ」も
原因の一つと考えられる。
例えば、全体の一般質問が不活発な議会に、活発に質問する
議員が登場した場合、世間では「他の議員も見習って活発に
質問するようになる」と考えるが、そうならないのが一部議会
の“常識”のようである。このような議会では、「一人だけ
目立つのはまずいから、質問を制限する」などのルールを
“新設”して対応していくようであり、その結果点数は下がる
ことになる。
【5.「今後」について】
当会としては、今後も継続して調査を行おうと考えている。
時を経て、調査結果がどう変わるか、また、調査対象を他の
自治体にも拡げた場合にどんな結果が得られるか、今回の
反省を踏まえて、今後取り組んでいくつもりである。
蛇足ながら、個人的な意見を少々。
いくら議会制度がよくなっても、それを議員個人が活かせなくて
は何にもならない。
その意味で、本当に必要なのは、議員個人を評価することだと
考える。
様々な評価指標を駆使して議員の「有能無能」を評価する試みが
各地で行われれば、「会派や政党によりかかるだけの議員」
「主体的に政策提言に取り組む姿勢のない議員」は自然と“淘汰”
されることになろう。「よりよい議会づくり」には「有効な“淘汰”」が
必要と考える。