「河井継之助」について

 昨年12月27日、日本テレビ系で「河井継之助〜駆け抜けた蒼龍〜」
(主演:中村勘三郎)という単発の時代劇がありました。
 見終わったらブログに書こうと思っていたのですが、ドラマが少々
期待はずれでしたので(私にとっては)、つい書く気が失せて
いました。


 さて、私のHPのプロフィールにも記していますが、私の愛読書の
一つは、河井継之助が主人公の「峠」(司馬遼太郎)です。
 個人的に司馬作品のベスト5を挙げろと言ったら、
  ①峠
  ②坂の上の雲
  ③世に棲む日日
  ④竜馬がゆく
  ⑤北斗の人
   歳月
といったところでしょうか。


 「峠」を読むきかっけは、中3から高1にかけての時期に見た
NHKの大河ドラマ花神」です(昭和52年)。
 このドラマは、司馬作品の中の「花神」(主人公は大村益次郎
が中心でしたが、同時代の様々な作品が部分的に取り上げられて
おり、「峠」も入っていました。
 ご記憶の方もあると思いますが、この時の河井継之助役は
高橋英樹です。
 この時は、河井継之助が中心ではありませんでしたから、
昨年のドラマの前半部分はありませんでしたが、私から見た
「重要な部分」がかなりあった気がします。
 「峠」の中の、
  ・福沢諭吉との会談の場面
  ・ガトリング砲に初めて出会った場面
  ・朝日山の争奪戦の場面
   (この時は、「マツケン」が“端役”で登場して壮烈な戦死)
  ・長岡城奪還作戦の際に「口語形式」の口上書を全軍に回覧
   した場面
などが思い浮かびます。


 高橋・河井の演技に魅せられて読み始めた「峠」でしたが、この
作品のもっと深い部分は、河井継之助の生き様もさることながら、
陽明学についての記述にあると思います。
 誤解を恐れずに言えば、司馬遼太郎なりに理解した陽明学的な
世界観・人間観を精一杯伝えようとしているのではないでしょうか。
 「峠」の前半の中に、
  ①三国峠越えの場面
  ②弟子の鈴木佐吉とのやり取りの場面
という2つがありますが、この場面を何度か読んでから、
「わかるようでわからない」という不可解さが残り、7〜8年ぐらい
頭の中に残っていました。
 何とか“得心”できたのは、その「7〜8年」後、ジョギングをして
いた際、ひらめき(?)のように「一つの考え方」(私なりの)が
浮かんだ時でした。


 テレビドラマの限界と書物の奥深さについて、改めて考えさせられ
たと言えましょうか。