「行革の切り札!? 事業仕分け」について

最近いろいろなところで取り上げられている「事業仕分け」について
述べます。


国や自治体の個々の事業について、当該自治体・国の職員と外部の
者が、“ガチンコ”の議論をしながら、その必要性・あり方について検討
するというものです。


これについては、民間シンクタンクの一つである構想日本が様々な
自治体への“仕掛け”を行っています。
http://www.kosonippon.org/doc/?no=234


役人による「自身の行革」では、必要性やあり方についてどうしても
身内の見方になってしまうので、思い切った見方ができません(一般論
として)。
そこで、法律的な要件や民間の受け皿(官から民へ事業を移す場合)
の可能性は別にして、純粋な「要不要論」「あり方論」を前提として、
一つ一つの事業について、「必要か不要か?」「民間に移せないか?」
「継続するにしても、今のままのあり方でよいか?」などを“判定”して
いきます。


11月10・11日、構想日本が千葉県で事業仕分けを行いましたので、
実際にその「作業現場」を見てきました。(“雰囲気”については下記の
写真をご覧ください)。


判定者(?)側として構想日本のコーディネーター1人・他の自治体の
職員5人が座り、一つ一つの事業について、千葉県職員に容赦なく
質問・意見を浴びせていきます。
時々、事業の見方・必要性について両者が対立する場面もあり、
非常に面白い光景でした。


私が得ることができたと考えている「行革の見方」としては(ただし、
これは判定者が主張されていたというより、このような場での必要な思考
原則だと、日野が考えた点です。“過激”な感想かもしれませんが)、
 ①「何とかして事業をやめられないか?」をまず考えてみる。
 ②「やめるまでは行かなくても、必ずどこかを削る」を前提とする。
 ③「抽象的な事業目的ではなく、具体的な事業ニーズがあるか?」を
   厳しく判定する。
 ④「ないよりはマシ」ではなく、「その事業があることで、具体的な
   メリットがあるか?」が事業継続の判断ポイントである(原則)。
などです。
 *こう書くと「何を当たり前のことを!」と叱られそうですが、この
  ような当たり前の原則を、具体的な作業に落とし込む(活かす)
  ことが、必要なのだと痛感しました。裏を返せば、いかに素晴らしい
  理論を唱えていても、このような“応用”がきかない手法は「絵に描
  いたモチ」なのでしょう。


ただ、今回の一連の作業を見ていて不満に感じたのは(私が見たのは
11日の午後の一部のみですが)、
 ①一事業当りの“審査”時間が30分ほどであり、あまりに短すぎる。
  (時間を区切って結論を出す必要性との間で、難しい問題ですが)
 ②市町村が絡んだ土木関係の事業などの場合、「市町村にニーズ
  がある」と言われると、判定者が突っ込めなくなる傾向(?)が
  感じられた。
  (市町村の担当者も交えれば、また違った議論が展開される可能性
   がありそうです。また、この問題は、「都道府県のあり方」にも
   関わることです。国と市区町村の間に“中間機関”が存在する
   ことによるムダはかなりあるはずです)
 ③“判定者”が自治体の職員だと、個々の事業に精通している反面、
  事業の必要性などについて、相手方の職員に同調してしまう可能性
  もある。
  (例えば、「交通安全県民運動」の審査の際、私なら、「啓発ポスター
   やビラなどに金をかけても効果があるとは思えない。不要」と結論を
   出すでしょうが、今回は継続と判断された)
などです。


いずれにしても、非常に有望な「行革手法」であり、自身の自治体である
豊島区への「有効な導入」に向け、早速検討していきます。