沖縄に見る“活性化”の一つの姿

日経ビジネス最新号の特集「沖縄経済圏」はなかなか読みごたえがありました。


まず、沖縄県が全国の中で成長力トップという“底力”を背景に、旺盛な消費需要がある点。
これは「デフレの正体」で藻谷浩介氏が指摘していた「生産年齢人口」の都道府県別の特色を見ても
よくわかります。「稼ぐ人」「使う人」が増えつつある地域は、何といっても“ベクトル”が上向き
と言えます。


次に、地理的・時間的に、「アジアの物流ハブ」として機能しつつあり、それを目当てに関連産業が
集積しつつある点。
物流に付随する様々な産業が集まれば、日本を含めたアジアの主要都市に、沖縄発で「翌日着」で
商品を届けることが可能になるというメリット、これはここしかない特長と言えるでしょう。


また、太陽光発電風力発電の大規模実証実験地となっていることなどにより、先端産業が集積しつつ
ある点。
昨年から続く原発問題の中で、原発のない沖縄は、「日本で唯一、エネルギー問題が存在しない土地」
に“急浮上”し、他の諸施策と相まって製造業が集まる条件が整いつつあるとのこと。


さらに、「米軍基地の返還」が続くことで、開発余地のある魅力的な“一等地”が次々と出て来る点。
例として、金武町のギンバル訓練場跡地が挙げられていますが、立ち入り禁止の広大な土地が、ホテル・
医療・スポーツなどを融合した一流のリゾート地に生まれ変わるのですから、点から“発展のタネ”が
降ってくるようなものでしょう。


「成長とは何か?」の一つの典型がわかるような気がします。


ところで、一番最後の「米軍基地の返還」の点、都市の成長戦略としてどこかで聴いた覚えがあると思って
考えていたのですが、現在の大阪が考えている戦略に似ているのではないでしょうか?
もちろん、大阪は「基地の返還」ではありませんが、現在の府・市が保有している膨大な都市インフラ
(公有地や水道・交通などの自治体インフラ)を民間に任せて産業を呼び込もうという大阪の成長戦略は、
沖縄と通じるものがあると考えました。


やはり、「官から民へ」というのは、これからの自治体にとって、フルスピードで進めねばならない大きな
課題と言えます。