自治体の政策決定における、民意の測定と反映について
今週日曜(5/31)、豊島区内に配達される主要新聞・朝刊に、折込みの形で私
の政策リポート(「意見広告」と称しています!)を入れました。
内容は、このブログでも時々取り上げてきた豊島区の大型開発計画(区の事業)
に関するもので、
1)路面電車(LRT)
2)池袋駅東西デッキ
3)新庁舎の建設
4)その他の計画
健康センター・総合アートセンター・インキュベーション施設
の、概要・現状と問題点を挙げています。
細かい内容については省きますが、いずれの計画も、「今後の豊島区の重要計画」
として、しっかりと区政の中で位置づけられています。
↓
*「未来戦略推進プラン」
http://www.city.toshima.lg.jp/kusei/houshin/seisakukeiei/8377/013783.html
これまでもこの「意見広告」を広く配布したことはありますが、今回はいつになく
“反響”がありました。
「多くの区民の方に、現在の区政は正しい方向に進んでいるかという観点
で区政の現状を真剣に考えていただく」
との目的の一つは十分に達成できたと考えています。
さて、たくさんの“反響”をいただいていろいろなことを考えましたが、一番
の問題として改めて考えたのが、
「住民(有権者)の民意をどうやって“測定”し、どうやって政策に“反映”
させていくか?」
ということです。
今回の私への“反響”から推定すると、上記の4つの計画にそのまま賛成している
区民の方は非常に少ないでしょう。
しかし、こう主張すると、区からは「パブリックコメント等、区に直接届く声では、
反対の声は少ない」との回答が予想されます(たぶん、そうでしょう)。
私への“反響”も、区に届く「区民の声」も、サンプル数が少ない上、「自分は
意見を言いたい」という“強い意志”(?)をもった方が多いので、どちらの見方
が正しいかは、水掛け論になることが予想されます。
一方、「議会が民意を反映しているか?」という点を考えてみると、少なくとも
豊島区議会はそうではない可能性が大きいと考えます。
豊島区議会では、「自分は区長の与党だ」と自称している議員が36人中28人
います(約78%)。
「区長与党」を自称する
自民党
公明党
民主党
社民党
生活者ネット
刷新の会
の各議員は、基本的に上記の計画を含めた区長提案の案件に反対しません。
*うわさでは「自分はそうではない」と言っている方がいるらしいですが、
上記の計画の遂行を前提に提出されている予算案等に賛成している上、
「自分は反対だ」とはっきり議会の場で主張した与党議員はいないので、
こう言っても間違いはないと言えるでしょう。
(「慎重に考えるべき」などの発言はありましたが、これは計画に反対
するものとは言えません。もしこのブログを見て“不満”を覚える
与党議員の方がいらっしゃったら、正々堂々と議会の場で不満なり
区の計画への反対を主張していただきたい。議会外での私的な意見表明
は、正式見解とはみなされませんから。)
先ほどの私の推定が正しかったとして、多くの区民の方が上記計画に反対して
いたとしても、正式な最終決定である議会の議決の場では、
「所詮、78%の議員は賛成する」
ことになりそうですから、その時の「豊島区の“民意”」(総意を民意と考えた場合)
と乖離する可能性は大いにあります。
では、どうしたらよいか?
やはり、区が実施主体となって、「公式・客観的な“民意”の測定」をし、それ
を政策形成に反映させていく必要があるのではないでしょうか。
豊島区の人口が26万人ですから、少なくとも「万人単位」のサンプル数は必要
と考えます。
確かに、「4年後ごとの選挙」は民意測定の場の一つとは言えますが、選挙
は個別政策への賛否ではなく、「誰がよいか?」という観点から「人を選ぶ」
面が強いです。政策への賛否と直接連動するものではありません。
こういった取組みへのヒントとなる事例としては、韓国ソウル市江南区の
「電子民主主義システム」が挙げられます。
同区では、メールを使って事前に登録した住民から政策へのアンケートをとる
仕組みが完備されているとのこと。
現在では全人口(54万人)の半数以上が登録されているそうなので、
「民意の測定と反映」に大いに効果を発揮するはずです。
自治体のIT化は、職員の業務の合理化が第一ではなく、こういった観点を
柱の一つとして考えていくべきです。