「ナショナルミニマム」の議論が今こそ必要!

ふるさと納税」や「東京富裕論」をめぐる議論が盛んになっている今日この頃
について一言です。


議論の順序としてまず必要なのは、「ナショナルミニマムをどう考えるか?」、
ではないでしょうか。
最低限の行政サービスのあり方(=必要な支出)についての明確な認識・
コンセンサスがなければ、税収のあり方(=いくら必要で、いくら足りないのか)
については、合理的な議論ができないはずです。


1.ふるさと納税等の税収格差是正論について
  確かに、「地方で育てられた人間が都会で税金を払っているのは納得いかない」
 という議論には、正当性があります。
  しかし、そもそも、それぞれの地方がいくら足りなくていくら必要なのか、その
 辺が明確にされていません。「ふるさと納税」の試案にあるような「およそ1割程度」
 は妥当な線なのでしょうか。
  本来、「最低限必要な行政サービスにはこれだけの税収が必要だ。しかし、自分
 の自治体はこれだけ足りない、だからこれだけ必要である」というところから議論
 が始まるべきです。
  地方交付税の削減がある意味一方的に進められた今日、「ナショナルミニマムとは
 何か?」を改めて議論(それも都市と地方の間で)すべきと考えます。


2.東京は“富裕”か?
  これも、「ナショナルミニマムのあり方」が決まらなければ、富裕か否かは決められ
 ないはずです。
  でも、個人的にはやはり“富裕”だと思います。
  典型的な例が「子どもの医療費無料化」です。
  これなど、東京に限らず、どこの自治体の首長でも、やりたくない人はいないはず
 です(当たり前ですが、首長になるには選挙が必要ですから)。地方の首長の方々の
 お話をお聞きしていると、「ない袖は振れない」辛さがよくわかる気がします。
  これも「ナショナルミニマムは何歳まで無料か?」を議論しておく必要がある
 のではないでしょうか。
  東京だけが一方的に「就学前→小学生→中学生→?」と進むのは、やはり少々“異常”
と言えます(小学生の子どもを抱える個人的事情からは、ありがたいのは当然ですが・・・)。
  *医師の方とお話していると、「何の条件もない医療費無料化」が果たしてよいこと
   かどうか、疑問を感じます。まだ結論を得ていませんが、「予防に向けての個々の
   努力とセットにする」などの仕組み上の“工夫”が必要と思います。


「都市と地方が、あるべきナショナルミニマムのあり方をめぐって真剣に議論する」
こんな“正論”の必要性を痛切に感じています。