市民参加による「事業仕分け」(栗東市)

hino-katsuaki2006-10-01

昨日(9/30)、滋賀県栗東市で行われた事業仕分けを傍聴してきました。


これまでも何度かこの「事業仕分け」を見てきましたが、今回の特徴は、事業の
必要性等を判断する“評定者”が一般市民だということです。
(写真は、机の奥が説明役の市職員、両脇・手前側が“評定”に当る市民)


もし、市民参加の事業仕分けが有効に機能するなら、
 ・“専門家”なしでの事業仕分けが可能なので、実施しやすくなる。
 ・このため、行政側が事業仕分けに消極的な場合でも、市民サイドからの
  “仕掛け”ができる。
というような可能性があります。
今回はこの辺に注目して見に行きました。


もっとも、市職員に聞いたところ、公募では評定者が集まらなかったので、
市側から声を掛けてメンバーを構成したそうです(コーディネーターは、
滋賀大の先生(?)とのこと)。


さて、あくまで今回の栗東市の、しかも私が見た場面からの判断ですが、
傍聴後の感想として考えた「市民参加による事業仕分け」のメリット・
デメリットです。


まずメリットですが、
 ①その事業の“成果”を享受している(はずの)市民が判定者なので、
  本当のニーズに近い意見が出てくる。
  (ただし、デメリットに機能する場合も当然あります。例えば地方都市
   の観光事業など、客観的には不要と見えるものでも、「真のニーズ」
   とされてします恐れがあります)
 ②結果がその自治体の政治的状況に影響を及ぼす可能性もあるので、自治
  側はおろそかにできない。
  (ただし、これも参加した市民のもつ“力”によります)


一方、デメリットは、
 ①専門的知識のない市民では、突込みが弱く、市職員に丸め込まれる
  可能性が恐れがある。
   今回傍聴した中に、「国際交流事業」というのがありましたが、私の見る
   ところ、実態は、外郭団体への補助金支給が中心のようです。ところが、
   話が「国際交流」という“崇高な”(?)概念にそらされてしまい、期待
   したプロセスにはなりませんでした。
 ②「知った者どうし」故か、よく言えば「和気あいあい」で、それが
  「馴れ合い」となってしまう恐れがある。職員にもあまり緊張感が感じ
  られない。
   これまでに実際に私が見てきた千葉県・熱海市のような“対決”の場面
   は見られませんでした。これは決してプラスとは言えません。
 ③素人の市民にとっては、自治体の事業は「所与のもの」との意識があるのか、
  「不要にしてもよい」との選択になかなかいきつかない。
   ①②とも関連しますが、「大胆な行革」に結びつけていくのは難しいの
   ではないでしょうか(少なくとも今回はそう感じた)。


今回の総合的な感想としては、私にとっては、上記のデメリットが大きく感じ
られたと言えます。
今回の意義は、
 ・一部市民(代表)に、市の事業はどんなものか、知ってもらう機会となった。
 ・それと同時に、積極的な情報公開の一環となった。
というところでしょうか。


最後に、「望ましい事業仕分けのあり方」について考えを述べます。
こんなやり方にしたら、もっと大きな効果が期待できるのではないでしょうか。
①コーディネーター・判定者の構成
 ・当該自治体の住民ではない外部の人間を原則とすべき。個別の利害が入る
  可能性を防ぐ。
 ・やはり、素人の住民ではなく、一定の知識がある者を原則とすべき。
 ・ただし、同じ有識者でも、自治体関係者と民間企業関係者を同数ぐらいに 
  すべき。民間のやり方が議論に入ると相当違ってくるはず。
ヒアリングを受ける者の構成
  これまでは、自治体職員のみでしたが、住民も加えたらどうでしょうか。
  「住民ニーズが大きい」との言い訳をぶちやぶるためです。
  ただし、出てくる住民の“背後関係”によっては、逆の効果も出てしまう
  恐れもありますが。
③判定内容について
  これまでも指摘してきましたが、結果として「現行事業は継続するけれど
  改善が必要」という判定が一番多くなるはずです。
  であるなら、単にこの結論に終わらせず、もう一歩踏み込んだカテゴリー
  を設けるべきです。
  例えば、「○○市のようなやり方にすべき」「継続してもよいが、事業費は
  現行の半分程度でよい」などです。


効果的な事業仕分けとはどういうものか、これからも様々な情報等をもとに
検討を加えていきたいと思います。