事業仕分けの新しい形−「垂直的事業仕分け」「水平的事業仕分け」

事業仕分け」についてはこのブログでも何度か触れ、
http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/20061001
 http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/20060814
http://d.hatena.ne.jp/hino-katsuaki/20051114
私なりの「理想の形」についても提案してきました。


今回は、「事業仕分けの新たな活用法」という新しい提案です。


これまで実際に何度か事業仕分けの作業を見てきましたが、一つ課題として感じたのは、
「一つの自治体のみでやらずに複数の自治体を併せて行えば、もっと大きなムダの削減
につながるのでは?」という点です。


例えば、一昨年行われた千葉県の事業仕分けの際には、傍聴者の私から見て明らかに
不要と思われる事業でも、県の担当職員から「市町村にニーズがある」との“言い訳”
がなされると、市町村の話が聞けないので、判定者がそれ以上突っ込みにくくなる。


「県のみを対象とした事業仕分けの限界」といったところでしょうか。


だから、複数の自治体を一緒に事業仕分けして、可能な限りムダをあぶりだす必要が
あると考えました。


今回の「複数の自治体」としては、次の2つを考えます。
 1.垂直的関係→垂直的事業仕分け
    県と市といった“縦”の関係にある自治体を一緒にするもの
 2.水平的関係→水平的事業仕分け
    隣接する市町村といった“横”の関係にある自治体を一緒にするもの
ただ、私が東京都豊島区に住んでいる関係から、とりあえず東京23区を見据えた
提案とします。


1.垂直的事業仕分けについて(都と区を同時に事業仕分けする)

 1)意義
   ・都と区を一体化して合理的な自治体経営のあり方を描ける。
   ・事業仕分けは、現実にある具体的事業を議論するので、抽象的な「大都市事務」
    論などに陥らなくて済む。
 2)メリット
    東京都の巨大さ(人口だけでなく、都という組織の大きさも含めて)・自治
    の密集度を考えると、他の県などよりもはるかに大きな合理化余地があるはず。
    もし実現できれば、大きな“財源”が生まれるはずであり、それを区がいただく
    のか、他に回すのかなど、それは次の議論となるでしょう。


2.水平的事業仕分けについて

 1)意義
    複数区を一つの「事業ユニット」と考えると、全事業をそれぞれの区が自前で
    抱え込むより、合理的な役割分担のあり方を追求した方が、トータルのメリット
    が大きいと考えられる。
 2)想定される議論のあり方
    例)放置自転車対策等
       隣接する区が、境界を境にして狭いエリアを区分けするのはどう考えても
       不合理。「A区のa駅はB区がやる」といった役割分担を考えた方が
       合理的。
 3)23区再編に向けての可能性
    区間で「合理的な事業のあり方」を追求しておけば、話題になりつつある
    「23区再編」も、単なる足し算ではなく、本当に合理的なあり方が追求できる
    のでは?
    2)をさらに進めて、隣接するA区とB区において、清掃はA区が両区分を、
    道路はB区が両区分を、などといった合理的な事業配分のあり方を考えておけば、
    「本当に合理的な再編」が実現する可能性がある。