温泉街のよさとは?

hino-katsuaki2006-08-29


「温泉評論家」になるつもりはありませんが、雑感を一言。


遅めの夏休みのレジャーという感じで、義父母とともに、家族で長野県・渋温泉
(http://www.shibuonsen.net)に行って来ました。
ここは初めての体験ですが、特色は、何と言っても「外湯めぐり」でしょう。
もちろん、各旅館・ホテルとも、豊富な湯量に基づくかけ流しの風呂を備えて
いますが、それ以外に、小さな温泉街の中に9つの「共同浴場」みたいな温泉
風呂があります。
利用そのものは無料なのですが、誰でも利用できるわけではなく、温泉街に宿泊
した者だけがもらえる鍵を使って入る形になります。


9つの温泉風呂、基本的にはそれほど大きく異なるわけではありませんが、泉質
や温度、つくり、メンテの状態等が異なっており、「ちょっとした個性」(と、
感じられる人にとっては)が楽しめます。
義父と二人で9つを“堪能”してきましたが、1時間半ほどで集中して回ったため、
今の季節、さすがに“満腹状態”になりました。


さて、この温泉街について感じたことです。
宿泊者の多く(?)が外湯めぐりに出かけるため、通りを浴衣姿で歩く宿泊客
が賑わい(という程でもないかもしれませんが)をなしている。
そして、その多くが宿備え付けの下駄で歩くため、あちこちから響く下駄の歯音
が聞こえ、それがまた、日常では味わえない「趣」(おもむき)を感じさせます。
*これにつられて宿と同じの下駄を買いました。


部屋に帰ってきて考えたのですが、温泉街が人を呼ぶには、2つの方向性がある
のではないか。
1つは、ここの温泉街のように、「(温泉)街の特色・魅力」といったものを、
街全体で醸し出すことです。
特色の要素としては、温泉だけでなく、もてなし・食べ物・行事(“イベント”
とはあえて書きたくないのでこう書きます)など、その場所の特性があるで
しょう。
もう一つは、温泉街の構成要素である旅館・ホテル自体が個性を競い合い、それ
によって全体の魅力を増していく、こういったパターンでしょう。
私の郷里の「秋保温泉」などは、どちらかと言うと後者に属する気がします。


どちらがどうと言う訳ではないのですが、どちらの“型”にも特化できずに
中途半端な形になっているところは、地域間競争を勝ち抜いていけないのでは
ないか、こんなことを考えました。
この点は、「商店街の活性化」にも通ずる課題だと思いますので、折に触れて
考えていきたいと思います。


*写真は個人的な“チャレンジ”の一コマです。
 渋温泉の近くの「地獄谷野猿公苑」(世界で唯一(?)の猿専用露天風呂の
 あるところ、http://www.jigokudani-yaenkoen.co.jp)で、猿に向けて尺八
 を吹きました。


 以前、米国人の尺八奏者の本を読んでいたところ、彼がアルゼンチンに
 旅行に行った際、ひょんなことから、ジャングルの中にある小さな学校で
 小学生相手に尺八を吹くことになった体験が書かれていました。
 その時、小学生から大喝采を受けただけでなく、ジャングルに住む多くの
 猿が“共感”(?)して、独特の鳴き声を届けてくれたそうです。


 これを読んで、一度やってみたいと考えていたのですが、ようやくその
 機会を得ました。
 写真でわかる通り、結構興味を示して寄ってきたのですが、期待した
 “協演”まではいかなかったのが残念です。


 写真に昔の水墨画風のタイトルをつけるとすれば、「猿猴聴尺八」図、
 とでもなりましょうか?